「いなりっこ」本番へ子どもら汗 三浦の郷土芸能、7日に発表会

 五穀豊穣(ほうじょう)などを祈願し、子どもたちが面を着けて踊る神奈川県三浦市の郷土芸能「いなりっこ」の発表会が7日、三崎港近くの複合施設「うらり」(三浦市三崎)で開かれる。46回目を迎えた今回は幼稚園児から高校生まで計17人が出演する予定で、子どもたちは8月下旬から、熱の入った練習を続けている。

 「倒れる時は、もっと(動作を)大きく」「手をきちんと挙げて」

 3日午後6時半から、うらり2階の研修室で行われた本番直前の練習。笛と太鼓の音色が響く中、保存会メンバーの指導の下、子どもたちは大漁を願う「恵比寿の舞」や、田畑を荒らすキツネを農民が退治する「種まき」などの振り付けを一つ一つ確認していた。

 初めて舞台に上がる小学1年の鈴木亜琉さん(6)は「振り付けを覚えるのは難しいけど、上手に踊りたい」と本番に向けて意気込む。7回目の参加という“ベテラン”の小学3年小倉穂華さん(9)は「体を目いっぱい動かし、お客さんに楽しんでもらいたい」と観客からの見え方も意識していた。

 いなりっこは、海南神社(同)に奉納される面神楽の“こども版”。出演者は演目に応じ、キツネやひょっとこ、えびすなどの面を着け、笛や太鼓に合わせて踊る。

 農村の豊作を祈願する稲荷信仰の「稲荷講(いなりこう)」がなまった呼び名で、三崎地区には江戸後期に伝えられたとされる。1960年代に一時衰退したが、海南神社青年会などが73年に復活させ、現在は保存会が継承。2002年には市の重要無形民俗文化財にも指定された。

 当日は計6演目が披露される。保存会は「1カ月半、一生懸命練習してきた子どもたちの演技を見てほしい」と来場を呼び掛けている。

 会場はうらり内の三浦市民ホールで、午後1時から4時まで。入場無料。問い合わせは、市教育委員会文化スポーツ課電話046(882)1111。

7日の本番に向け、練習にも力がこもる子どもたち=3日夜、うらり

© 株式会社神奈川新聞社