羽田圭介 「株に過度な期待はしない、本業をちゃんとやった方がいい」

4日、東京大学・安田講堂で「人生100年時代」を見据えたお金の運用をテーマとする講座「100年大学 お金のこと学部 開学記念特別講座」が開催され、元乃木坂46の生駒里奈と作家の羽田圭介が登壇。集まった学生らを前に自身とお金にまつわるエピソードなどをにこやかに紹介した。

小説家の羽田は自身の小説の表紙がプリントされた学ラン姿で登場。自分の小説が少しでも売れればという思いから仕立てた学ランだといい、「13万くらいかかっています。宣伝になるかなって思って作ったんですけど、写真にとられても(プリント部分がフラッシュで)飛んでしまったりして、あんまり効果は感じません。13万円ドブに捨てたようなもんです」と自虐。

お金の不安が出てきたのは専業作家になってからだといい、数年前から株を始めたと告白。芥川賞を受賞した際は一気に収入が増え、銀行へ行くと特別窓口へ連れていかれたという経験談なども紹介。「何も知らなければそこでマイナスにしかならないような金融商品を買っていたかもしれないですけど、株をやっていて少し知識があったから無理な商品を買わなくてすんだ」と述べ、株について自身の経験や知識の蓄積のためにも若いころからやったほうがいいと学生らに進言。

一方で「株は過度な期待はしないほうがいいです。投資で増やすなら本業をちゃんとやったほうがいい」と警告も。「大事なのは本業、次が節税。税金って収入に対して数割くらい持っていかれるものなので節税はきちんとしたほうがいいです。その次が節約と投資。投資は考えはじめると、頭の容量をかなり持っていかれるので、できるだけ手間暇をかけない資産運用を構築するのがポイントです」と力説していた。

東大生からは「若者が証券投資に消極的なのはなぜか」とも質問を受けたが、「お金持っていないからだろうなって思います。必要に迫られていないうちって、自分が貧乏ってことにも気づいていないってことなんです。今はスマホさえあればなんか満足しちゃって将来自分の人生にどれだけお金がかかるなんてことが見えにくい。貧困が隠されているんです。僕も中古のマンションをローンで飼ってから必要にかられて投資を始めたんです」と持論を展開。

作家として今後やりたいことについては「映画監督」と即答。「テレビの仕事でたまに数日間のロケ撮影とかやるとスタッフさんとかとの間で自然と連帯感が生まれる。人とやって連帯感が生まれるのって心の健康にいいなって。やるかどうかはわかりませんけど、憧れを抱いているんです」と話していた。
(取材・文:名鹿祥史)

『100年大学 お金のこと学部』
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