【MLB】最強Rソックスでブレークの元広島右腕 昨オフは「とにかく帰国したかった」

昨季は広島でプレーしていたライアン・ブレイシア【写真:荒川祐史】

昨季広島に所属したブレイシア、名門球団で活躍できている理由は…

 メジャーリーグは3日(日本時間4日)からポストシーズンの地区シリーズが始まった。今季、108勝54敗と圧倒的な強さを見せ、両リーグ最高の勝率.667を記録したレッドソックスは、アスレチックスとのワイルドカードゲームを勝ち抜いた宿敵ヤンキースと激突する。

 昨季、ポストシーズンで圧巻の投球を見せたヤンキースの田中将大投手の活躍に期待が高まるが、実はレッドソックスにもNPB経験者がいる。昨季、広島でプレーしたライアン・ブレイシア投手だ。セ・リーグ王者では26試合登板で2勝1敗1セーブ2ホールド、防御率3.00の成績に終わり、1年で自由契約となった右腕だが、今季は7月にメジャー契約を結んでレッドソックスでブレークした。決戦を前に米メディアもその“サクセスストーリー”に注目している。

 ブレイシアの特集を組んだのは、米スポーツメディア「ジ・アスレチック」だ。記事では、ブレイシアが昨季終了後の帰国が待ちきれなかったと紹介。もっとも「それは必ずしも彼が日本で酷いシーズンを送っていたということを意味するわけではない。彼は良い投球をしていたし、彼の所属チームはリーグ優勝を果たした」としている。ただ、外国人枠の問題で登録と抹消を頻繁に繰り返していたことが、少なからず精神的な負担となっていたようだ。

 特集で、マイナー契約であっても「とにかく母国に戻りたかった」とされているブレイシア。本人は「もしどこかのチームと契約して良い投球ができたら、メジャーでプレーするチャンスが得られると思ったんだ」と話している。今季、メジャー復帰1年目で最多勝に輝いたカージナルスのマイルズ・マイコラス投手は、巨人での経験が自身にとって大きかったとと事あるごとに明かしているが、ブレイシアは全く違う思いを抱いているという。

同僚もブレイシアの投球を絶賛「違う部類の直球なんだ。重さがある」

「この12か月を振り返ると、ブレイシアは日本で過ごした1年という短い期間が、レッドソックスの救援投手としてWHIP0.77、防御率1.60を記録した今シーズンの活躍のきっかけと呼べるものになったのではないかと予想するのかもしれない。しかし、それは違う。この時間を振り返ってみてブレイシアが思い出すことは、母国に帰りたかったと言うことだ」

「彼ら(広島)がブレイシアを残留させるために全力を注いだと考えられる根拠は、ほとんどないだろう。海の向こうで投球の才能を開花させたという感覚を彼が抱くことはなかった」

 特集ではこのように説明しており、レッドソックスでの成功の鍵となったのは「剛速球」だとしている。ブレイシアは日本できっかけを掴んだというわけではなく、今年、自身の能力を存分に発揮することで強豪での居場所を勝ち取ったというのだ。

 今季は直球での被打率が.130と優秀な数値を誇っており、前回メジャーで投げていた2013年(当時はエンゼルス所属)よりも球速が約2マイル(約3.2キロ)上がっているという。同僚のマット・バーンズ投手は「彼の直球は異質。(自分の直球とは)違う部類の直球なんだ。直球に重さがある。(球速は同じでも)違うタイプの98マイル(約158キロ)だね。打つのが難しいんだ。彼は幸運にも、打者にとって難しい直球を投げられる投手の一人なんだ」と証言している。

 ポストシーズンでも重要な局面で起用されることが予想されるブレイシア。広島時代の投球と何が違うのか、注目して見てみても面白いかもしれない。(Full-Count編集部)

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