ノーベル平和賞ならず 高校生平和大使

 今年初めてノーベル平和賞の候補に挙がった「高校生平和大使」の受賞はならなかった。賞が発表された5日、長崎県内の関係する高校生や支援者は残念がる一方「あくまで通過点」として活動の発展を願った。

 高校生平和大使は1998年に発足。反核署名を国連機関へ毎年届けている。

 この日は、現役の平和大使や経験者、支援者ら約50人が長崎市内のホテルに集まり、インターネット中継で発表の様子を固唾(かたず)をのんで見守ったが、吉報は届かなかった。

 3月にノルウェー・オスロのノーベル賞委員会を訪ね、活動を紹介した活水高3年の中村涼香さん(18)は「候補となり活動への関心は高まったと思う。通過点と捉え、核廃絶へ活動を続けたい」と話した。

 4代目の平和大使で、平和大使の支援組織の共同代表も務める長崎市の会社員、嶋田千佐子さん(35)は「高校生が目を輝かせて受賞を期待する姿に活動への彼らの自信を感じた。活動の意義は年々深まっている」と感慨深そうに語った。

 平和大使派遣委員会の平野伸人共同代表は「今年は初めてのノミネートで知名度も高くない。世界から認められるように地道に頑張りたい」と述べた。今年は国会議員25人の推薦を受け候補となったが、来年は50人の推薦を目指すという。

 一方、毎年候補に挙がっている日本原水爆被害者団体協議会(被団協)も受賞を逃した。田中熙巳(てるみ)代表委員は「残念」としつつ、地道に反核運動を進める必要性を訴えた。

ノーベル平和賞の発表の様子をインターネット中継で見守る高校生ら=長崎市筑後町、ホテルセントヒル長崎

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