台風25号県内被害相次ぐ 3人けが、倉庫倒壊や停電

 強い台風25号は6日朝、長崎県内全域を暴風域に巻き込みながら長崎県に最接近した。一時最大で1679人が自主避難し、長崎市などで3人が軽傷を負うなどしたほか、広範囲で停電が発生、交通機関も乱れた。

 長崎県災害警戒本部によると、長崎県内19市町が設置した計238カ所の避難所に一時最大で1343世帯1679人が自主避難。長崎市の男性1人と五島市の女性1人が強風にあおられて転倒したほか、長崎市の男性1人が屋外で足を滑らせ、それぞれ軽傷を負うなどした。

 長崎地方気象台によると、対馬市厳原で最大瞬間風速39・5メートル、長崎市野母町で同34・0メートルの猛烈な風を観測し、それぞれ10月の観測史上最大となった。

 強風の影響で、五島市玉之浦町の玉之浦診療所裏にある倉庫が倒壊。対馬市では国道・県道の計3カ所で倒木が発生し、同市峰町で約100世帯が一時停電した。長崎市池島町では港の桟橋の一部が落ち、損壊するなどの被害があり、高速船とフェリーの接岸に支障が出そうだ。

 長崎市田中町では堤防を乗り越えた高波によって市道が冠水し、一時通行止めに。近くの障害者支援施設が高波を受け窓ガラスや外壁が破損する被害に遭ったが、けが人はなかった。

 九州電力長崎支社によると、県内では一時最大で計1万1600戸が停電したが、同日午後7時半までにほとんどが復旧した。交通機関も乱れ、JR九州が県内発着の特急を一部運休。在来線も始発から本数を減らして運行した。松浦鉄道(MR)と島原鉄道は始発から運転を見合わせ、午後以降に順次運行を再開した。空の便は全日空(ANA)、オリエンタルエアブリッジ(ORC)などピーチを除く各社が午前中、長崎発着の全便を欠航するなどした。海の便でも本土と離島を結ぶ高速船、フェリーなどに欠航が相次いだ。

台風25号の強風で吹き飛ばされた玉之浦診療所裏の倉庫=6日午前10時43分、五島市玉之浦町

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