【高校野球】県立高の快進撃 OB、関東逃すも「誇り」

 6日に平塚市内で行われた高校野球の秋季神奈川県大会で、創部初めて秋の準決勝に挑んだ厚木北高。神奈川の県立校としては1986年の新城高以来となる秋の関東大会出場にあと一歩届かなかったが、1期生の釜井秀明さん(55)は「ここまで勝てるチームになり、OBとして本当に誇らしい」と後輩たちの躍進をたたえた。

 スコアブックにペンを走らせながら、温かいまなざしで試合を見つめていた。78年の創立と同時に厚木北高に入学した釜井さん。野球部員ではなかったが、最後まで何が起こるか分からない高校野球の面白さに取りつかれ、在学中から母校の試合を追い続けて40年になるという。

 「昔は何の取りえもなかったうちの学校が、こうして強くなってくれるのはうれしいよ」。公式戦だけでなく練習試合もチェックし、千葉や茨城などへの遠征にも駆け付ける。歴代の選手や保護者らとも交流を重ね、野球部関係者の中で知らない人はほとんどいないという“応援団長”だ。

 母校の試合に声援を送るだけでは飽き足らず、「親御さんや中学時代の指導者に、『この子は高校でこんなに活躍しているんだよ』と伝えたい」と、2001年に野球部を応援するホームページ「がんばれ厚木北高校野球部」を開設。試合結果や個人の成績に加え、釜井さんの心に残る名試合なども紹介している。

 高校3年生の夏。野球部は創部3年目にして神奈川大会で初出場初勝利を果たした。あれから40年近くがたち、母校は神奈川のベスト4まで上り詰めた。

 「関東大会に出られないのは残念だけど、新チームはまだ始まったばかり。彼らの努力次第でまだまだ強くなりますよ」と釜井さん。いつか、甲子園でスコアブックをつける日が来ることを夢見ている。

スコアブックをつけながら後輩の試合を観戦する厚木北高1期生の釜井さん=バッティングパレス相石スタジアムひらつか

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