【平成の長崎】お目当ての品 少しでも安く 5%へ消費者自衛 平成9(1997)年

 消費税は1997年4月1日、いよいよ“5%時代”に突入する。「駆け込み需要の反動が怖い」「2%アップは苦しい」。税率引き上げを目前に控え、売り手も買い手も“戦々恐々”の心境。一方、年商3千万円を超える法人が運賃を上げるタクシー業界。料金メーターを取り換えるタイミングの違いから“一夜だけの料金格差”も。消費税アップ直前の県内の表情を追った。
 ◎ラストサンデー
 「消費税アップ」を目前に控えたラストサンデーの30日、長崎市内の百貨店やディスカウントストアなどは買い物客らでにぎわった。西彼時津町野田郷のサンアイ長崎店は「駆け込み需要を見越して週末はセール期間に充てた」と説明。今春から寮生活を送るという長崎市平山台の看護学生、木下さんは「3%のうちに、と慌てて買いに来た。電化製品だけで10万近くかかったので、かなりの差が出る」とお目当てのテレビを購入し、ホッとした様子。
 今年に入り好調な売れ行きを示す自動車販売業界では、4月以降の冷え込みを懸念する声も聞かれた。長崎トヨペット葉山店の吉村主任は「この時期だけで前年より売り上げが2割弱伸びた。4月以降、メーカーの新車種投入を積極的にPRし、急激な落ち込みだけは避けたい」と気を引き締めている。
 景気の低迷が続く中、長崎市内でも苦しい家計を切り盛りする主婦からは嘆きの声が漏れた。
 京泊町の主婦、宮脇さんは「1円でも安い買い物を心掛けているだけに5%は苦しい。まず税金の無駄遣いをやめるべき。これ以上、消費税率を上げられたらたまらない」と不満顔。
(平成9年3月31日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

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