【MLB】ヤ軍セベリーノ、8分前に投球練習開始で炎上 専門家は断言「あり得ない」

地区S第3戦で炎上したヤンキースのルイス・セベリーノ【写真:AP】

米メディアは“時間勘違い疑惑”を大きく取り上げる、本人は「時間は覚えていた」

■レッドソックス 16-1 ヤンキース(日本時間9日・ニューヨーク)

 ヤンキースのエース右腕、ルイス・セベリーノが8日(日本時間9日)の地区シリーズ第3戦、本拠地レッドソックス戦で4回途中7安打6失点2奪三振2四球と炎上した。チームは1-16で大敗し、宿敵にリーグ優勝決定シリーズ進出への王手をかけられたが、試合後はセベリーノが試合時間を勘違いしていたのではないかという“疑惑”の話題で持ち切りに。エース右腕は開始8分前にブルペン入りしており、専門家は「あり得ない」と断言している。

 0-3で迎えた4回にヒット2本と四球で無死満塁とされたセベリーノは、無念の表情でマウンドを降りた。すると、後を継いだリン、グリーンもつかまり、この回7失点で10点差に。エースの乱調でヤンキースのプランは完全に崩れ、最終回には捕手のロマインを投入するという屈辱の展開で大敗。16失点でヤンキースのポストシーズンワースト記録を更新してしまった。

 セベリーノはこの試合、7時40分の試合開始に向けて8分前の同32分にブルペンに入りし、投球練習を開始した。地元テレビ局「YESネットワーク」では、外野でウォーミングアップしていた右腕が、その4分前の同28分にラリー・ロスチャイルド投手コーチに声をかけられた場面も捉えていた。

 試合後、セベリーノ本人は地元メディアに「勘違いはしていなかったよ。今日のような(大事な)試合では、(試合の開始)時間を覚えているものだからね」と否定。ロスチャイルド投手コーチも時間を勘違いしていたのかとの質問に「CC(サバシア)もブルペンにいる時間は短いし、セビーもいつもかなり短い」と答えた。

元捕手は疑い隠さず、8分前のブルペン入りは「あり得ない」

 だが、「YESネットワーク」では、名物レポーターのジャック・カリー氏が「私はこれまでにも、試合前にフィールドにいることが何度もありましたが、大抵の場合投手は試合開始30分~35分前にブルペンに向かいます。彼らに話を聞くと、普通40~50球投げることを望んでいます。40球~50球を投げ、ポストシーズンでの試合に向けて準備をするのに、8分という時間は非常にキツキツだと思います」と指摘した。

 さらに、03~05年にヤンキースでプレーした元捕手のジョン・フラハーティ氏も「これはあり得ません。本当にあり得ないことです。先発投手は、最低でも試合開始30分前には外野でランニングを行い、遠投を行い、(ブルペンの)マウンドに向かうものです。それから徐々に仕上げていきます。メジャーの試合において、8分前にブルペンのマウンドに向かって、予定されている試合開始(時間)に向けて準備をするということは、絶対にあり得ません」と断言した。プレーボール8分前の投球練習開始というのは、やはり不自然だとの見方だ。

 また、MLB公式サイトの解析システム「スタットキャスト」のデビッド・アドラー記者はツイッターで、今季の直球の平均速度トップ2が、この日先発したセベリーノ、イオバルディ(レッドソックス)の2人だったと紹介。1位のセベリーノが97.6マイル(約157キロ)、2位のイオバルディは97.1マイル(約156.3キロ)だったが、この試合ではセベリーノが自己ワースト2の96.8マイル(約155.8キロ)、イオバルディが自己最高の98.5マイル(約158.5キロ)だったという。

 準備不足でも、そうではなくても、セベリーノの乱調でヤンキースが重要な一戦を落としたことは確か。サバシアが先発する第4戦で、望みをつなぐことはできるだろうか。(Full-Count編集部)

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