【平成の長崎】明治、大正の貴重な遺物? 航路標識灯で復活 平成8(1996)年

 長崎港の新しい玄関口、旅客ターミナルビル(長崎市元船町、愛称ビッグ・ビット)に2月、現役を退いた〝巨大アンカー〟を使った航路標識灯がお目見えした。長崎県は夜間のライトアップも検討しており「港町・長崎らしいシンボルへ」と意気込んでいる。
 港湾管理者の県臨海開発局によると、アンカーは高さ約6・5㍍、重さ約10㌧で通常のものより一回り以上も大きい。鋳鉄製。昭和41年まで港に浮かぶ海上ブイを海底に固定させる役目を担っていた。水深15㍍地点の潟に埋まっていたため保存状態は良好。引き上げられた後、長い間、同市小江港で野ざらしになっていたという。
 「巨大な姿は長崎港にふさわしい」と着目した同開発局が、昨年秋完成したビッグ・ビットを〝再就職先〟に決定。2月末、ふ頭先端に設置、今月末までにソーラー式電灯を備えた航路標識灯に生まれ変わる。
 一方、このアンカーについては「明治、大正時代に製作された貴重な遺物」「何かいわくつきでは」などさまざまな憶測を呼んでいるという。同開発局港湾課の石井剛課長は「戦前、旧海軍などの要請で造られたものではないか。夜間のライトアップはもちろん、長崎港の新名所として有効活用していきたい」と話している。(平成8年3月5日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

長崎港の航路標識灯として生まれ変わった巨大アンカー=長崎市元船町、旅客ターミナルビル

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