やまゆり園事件被告手記「評価してない」 抗議文に県回答

 相模原市緑区の神奈川県立障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件で、黒岩祐治知事が植松聖被告の手記などをまとめた書籍を推薦するかのような発言をしたとして発言の撤回と謝罪を求めた抗議文を巡り、静岡県立大短期大学部の佐々木隆志教授は9日、「評価する発言はしていない」とする県からの回答書を受け取ったことを明らかにした。

 回答書は、県福祉子どもみらい局長名で4日付。「知事は書籍に書かれている被告の主張は絶対に容認できないと一貫して主張している」などと指摘。「書籍を前向きに評価するような発言をしたことは一切ない」と強く否定した。佐々木教授は「被告の主張はヘイトスピーチと同じ。今なお多くの人がおびえ苦しんでいる。知事の発言は全国に報道されており、明確に打ち消してもらいたい」と具体的な対応を求めた。

 抗議文は、知事が書籍について感想を問われた7月23日の記者会見で「事件の本質を見極めたいとの思いで書かれており、被告の誤った考えを問い続ける本だと感じた」と述べたとして批判。「お墨付きを与えるような発言は容認できない」としている。佐々木教授らが先月21日に提出し、今月5日までに知事の見解を文書で回答するよう求めていた。

© 株式会社神奈川新聞社