MC松島(web Roftop2018年10月号)

ーワンマンライブが終わって打ち上げイベント中ですが、インタビューを始めたいと思います! とはいっても、ゆったりした感じでやっていきましょう!
松島:お酒も入ってますしね(笑)。
ーさっそくですが、今回のワンマンはどういう意義のライブでしたか?
松島:そもそも、今年の春にアルバムをリリースさせていただいて普通は直後に全国ツアーを行うとおもうんですけど、僕ライブハウスに呼ばれていくのはあんまりよくないなとおもっていて。
ーええっ! それは何故ですか?
松島:呼ばれるって、うまく言えないけど呼ぶ先の人にお金がかかっちゃうんですよ。
ーなるほど、札幌からの移動費が。
松島:余裕があるイベントならばいいんですけど、すごい地方で僕がいてもいなくでもガラガラなイベントにも呼んでくれようとするんですがそれって結局、一番手にライブする子たちの負担になっちゃうので、それに行って、ありがとうございましたっていうのは果たしていいのかなって。だったら自分で箱借りてライブした方が健康的なんじゃないかと思って、手始めに東京でやってみようと。
ー自分だけじゃなくてまわりの若手や裏方のことも考えていらっしゃるんですね。
松島:イベンターさんが自腹切ってくれたり、若手の子がチケットノルマを課せられたりすることもあるので…。僕が行くことによって、そういう負担が普段より増えるなら経済活動としてあまりに美しくないので、呼ばれていかないようにしていて。
ーすごく理にかなっていますが、どのようにしてその思いに至ったんでしょうか? たいていのひとは呼ばれたほうが嬉しいと思うのですが。
松島:たぶん大抵はwin-winで「呼んでよかった」とは思っていただけてるとは思うんですが、やっぱりその、僕を呼ぶコストに自分の価値がまだ見合ってないな、と。仲良いから呼んでくれたりしてくれますが、僕を呼んだから黒字が増える! という状況では正直ないから、よくてトントンのそんな状態でイベント開いてもらうっていうのはそんなに、という感じです。
ーそういったお気持ちのもと、今回のワンマンはご自分で下北沢Threeさんを押さえて行ったんですね。Threeさんの決め手はなんだったんでしょう?
松島:Threeさんの考えかたがすごく好きで。ノルマ制の廃止など早い段階から力を入れていたのでずっと「東京でやるなら下北沢Threeだな」と。僕にとっては広いキャパで背伸びしたんですが、相談にも乗ってくれて。
ー挑戦的なイベントも多いライブハウスですよね。ブッカーとして見習いたいです。実際、ワンマンが終わってみてどうでしたか?
松島:楽しかったっす!(笑) 正直もっとガラガラになるかと思いましたけど、それなりに形になってよかったです。
ー今回も新しい機材に挑戦されたり、VJさんを呼んだりなどしてましたが、今後こんなライブがしたい!などありますか?
松島:やっぱりバンドセットはそのうちやりたいかなぁ…あと野外とか。
ーバンドセット! いいですね。入れたい楽器などあるんですか?
松島:あーでもバンドセットといいつつ、2人とかでもいいですね。ドラムと僕、とか、ベースと僕、とか。
ー実際に一緒に演奏したい方とかいらっしゃいますか?
松島:手始めに札幌の友達ですかね(笑)。でもやっぱ知り合いってギターやってる人が多いのでギター×ラップを試してみたいですね。
ー今一番感心があるアーティストはいらっしゃいますか?
松島:LOOP☆HRですね!!!!!! 捕まっちゃって非常に残念です。あとは、札幌のthe hatchというバンドもかっこいいです。聴いて欲しいです、今月の頭にアルバムが発売したので…。
ーthe hatchの宣伝になっちゃいましたが(笑)、対バンしたい方とかいらっしゃいますか?
松島:誰とでもしたいので、これといってないんですけど、目標はユーミンと中島みゆきさんです! 対バンとかしてるんですかね? (笑)
ーどうなんでしょう(笑)。実現したら絶対行きたいです!
ー札幌の話題が出ましたが、札幌のライブ情勢はどうなんでしょう?
松島:よくわかんないっすね~。シーン自体はちっちゃくて。とくにHIPHOPとかラップはほぼ無い状況で。なかなか難しいですね。
ーそうなんですね。松島さんがそういった札幌という地でHIPHOP、ラップをやろうと思った当時はどうだったんでしょう?
松島:僕が思春期のころは全体的にラップが流行ってましたからね。ライムスター、リップスライム、キックザカンクルーが一気にメジャーデビューした年があって。それが中学3年生のときで、きっときっかけは今の子たちと変わらない感じです。テレビで見て、かっこいい! って思って自分も始めるといった。
ーバンドもきっと流行っていたと思いますがHIPHOPの決め手はなんだったんでしょうか?
松島:ギターは最初買ったんですけど、バンドの仕組みをわかってなくて…。
ーというと…?
松島:人と組む、っていう発想がなかったです。ドラムとベースを集めればバンドができるって知らなくて(笑)、ひたすら家で”この曲が弾けるかどうか”っていうのをやってましたね。でもラップは録音してネットにアップした時点で作品として見られるから、そっちばっかりやるようになったのが決め手ですかね。
ー初めてのラップ作品はいくつですか?
松島:中3ですかね。ちょうど、当時はPCでの宅録が手軽になった時期で。ネットの掲示板みたいなところも活発でしたし、その頃は札幌にもシーンがバリバリあったんですが、ちょうど終わりかけのタイミングが僕の世代でした。だから有名な先輩とかは沢山いたんですけどいなくなったり、若くて才能ある子は上京しちゃったりして…ムーブメントが定着しづらい土地ですね。お客さんもテレビ出てるようなメジャーのアーティストじゃないと興味ない人が多いんですけど、その反面、もちろんインディーズの方が好きな人たちもいて。そういう人たちを受け入れ続けるアンダーグラウンドな土壌がどんどんなくなってきているんですよね。なかなか難しいです、地方は。
ーそれでも札幌で活動を続けているのはどういった理由からですか?
松島:引っ越したく無いのが第一です! なんでそっちの都合でこっちが引っ越さなきゃいけないんだっていう(笑)。「まあ、いまネットとかもあるから場所関係無いじゃん」っていうひともいますけど関係ありますよねえ。
ーライブとかはどうしてもそうですね。東京がやっぱり多いしお客さんも来るし。
松島:そうですよね。けど人が多すぎてぜったい住めない…
ー東京には人もイベントも多すぎるので分散させたほうがよさそうなものですけどね。
松島:そこで札幌、いいと思うんですけどね! 場所もあるし。みんな札幌に引っ越してきて札幌を首都にして欲しいですね。(笑)
ー首都に!(笑) がんばりましょう。

ーツイッターで日々いろいろな議論などに言及している松島さんに聞きたいのですが、老害にならないためにはどうしたらいいですか?
松島:うわあ、難しいな~。…黙って金を払う。
ー「黙って金を払う」! なるほど!
松島:『俺ってこんなにすごいんだぞ』って全く言わずに表現するには、黙って金を払うしかない(笑)。
ーははは!(笑) たしかに。
松島:若い子見つけたらとにかく金を払う! でも、「当時は~」とか「俺の若い頃は~」みたいなことも言っていくべきだと思うんですよ。老害になることを恐れちゃいけないと思います! 嫌われなければたぶん「害」じゃないから、昔話とかする必要もきっとあると思うんすよ。だから「黙って金を払う」のと、「求められてる人にだけ話をする」っていう。あとは…若い子とも実力で勝負すること。自分が評価されてないなって思うから老害になるんだと思います、若い子に敵わないなって思ったら、諦めることが大事。張り合うなら、実力で。「こっちの方が長くやったんだ」とか言っちゃうと、張り合えてない、負けてるが故に言っちゃうわけなんでね。
ーな、なるほど~めちゃくちゃタメになります。明日から実行します!
松島:それにしても、老いることがみんな怖いんですね。
ー怖くないんですか?
松島:怖くないですね。31歳のとき、32歳のとき、それぞれのベストがあって、17歳のときの体力とかをベストに考えると衰える一方だけど、30代と10代のベストって違うから、その時々のベストを楽しめたらいいかなっていう。だから全然怖くないです。
ーすごい…! 確かにそうですね。老いる恐怖から自分でハードルを上げてしまっているのかもしれません。
松島:日本人って年相応に見られたく無い、若く見られたいって言いがちですけど、それってすごく変だな、と思います。かっこいい老い方をすればいいんじゃないかと。
ーちなみに松島さんが思うかっこいい老い方とは?
松島:何事にもビビらないことですかね。健康面は考えちゃいますけど(笑)。クリエイティブな部分は年とともに磨きがかかっていくこともあると思うので。
ービビらない! 余裕を持ってどーんと構えた大人はかっこいいですもんね。
ー最後になにかありますか?
松島:阿佐ヶ谷ロフトAはいいお店ですね! 流行ってほしいです! もう流行ってるかもしれないですけど!(笑)
ーありがとうございます!!!!(笑)

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