東名あおり12月3日初公判 横浜地裁、危険運転適用争点

 神奈川県大井町の東名高速道路で昨年6月、あおり運転を受けて停止させられた一家4人が後続車に追突され死傷した事故で、横浜地裁は10日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)などの罪で起訴された被告の男(26)の裁判員裁判初公判を12月3日に開くことを明らかにした。同10日に論告求刑公判が行われ、判決は同14日の見通し。

 公判では危険運転罪の適用の可否が最大の争点となる見込み。危険運転罪は車が走行中の事故に適用するのが一般的で、弁護側は停止後に誘発した事故にまで適用するのは「法律に規定がなく拡大解釈だ」と反発している。

 地裁はこれまでの公判前整理手続きで、危険運転罪の成立に否定的な見解を示している。同罪に当たらないと判断されれば無罪となるため、検察側は監禁致死傷罪を予備的な主張として付け加える訴因変更を行っている。弁護側は監禁致死傷罪についても、被告に故意がないとして成立を争う見通し。

 起訴状などによると、被告は昨年6月5日夜、現場から約1キロ手前の中井パーキングエリアで、車の止め方を非難されて憤慨、静岡市の女性=当時(39)=一家のワゴン車に妨害行為を繰り返し、進路を車でふさいで停止させた。降車した被告がワゴン車に詰め寄った際に後続の大型トラックが突っ込む事故が起き、女性と夫=同(45)=を死亡させ、娘2人にけがを負わせた、とされる。

横浜地裁

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