長崎市高島町の高島海水浴場内に少なくとも34種類のサンゴが生息していることが、地元の地域おこし団体「やったろうde高島」を主体とした調査で判明した。種類を特定した宮崎大の深見裕伸准教授(45)=海洋生物学=は「一般的に生息しにくい海水浴場でこれだけ豊富な種類がいるのは珍しい」と分析。団体は観光資源としての活用を検討している。
サンゴは海中での光合成により地球温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度を調整するが、近年は高水温などの環境変化で減少している。団体などによると、高島海水浴場は海域約2万平方メートル、最大水深約13メートルで透明度が高い。サンゴは水深約0・6~3メートルの浅瀬に広く生息しているという。
今年7月の現地調査で、サンゴに詳しい深見准教授が水中カメラで撮影。瓦のような形をしたカワラサンゴや円形のサンゴが密集したキクメイシなど、硬い骨格を持つのが特徴の「イシサンゴ目」に属する34種を特定した。深見准教授は「これほど身近にサンゴを楽しめる場所は国内でもそうそうない」と評価する。
団体は2010年に発足後、毎年4~11月に掛けてシュノーケリング体験事業を展開している。昨年度の利用者は940人で約半数が県外在住者。船で沖に出て見るのが一般的なサンゴを岸から直に見に行ける手軽さもあり、人気が出ている。
団体は今後、調査で特定した種類の特徴や写真をホームページや観光サイトなどで全面的にPRする考え。高島への観光客増加やサンゴ保護の啓発に生かす。小村秀蔵事務局長(63)は「高島が誇るサンゴをもっと知ってもらうことが環境保全につながる」と期待した。
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