JFEスチール、厚板販売の品種構成を改善 造船に次ぐ柱を拡充

海外インフラ、エネルギー分野など

 JFEスチールは、厚板販売のポートフォリオ(品種構成)改善を進める方針だ。5割強を占める造船向けに続く第2、第3の柱を拡充し、さらに太くすることを目指す。「国内市場でJFE材は、ある程度の存在感を示していると認識しているが、海外比率(輸出比率)は35%を下回っており、今後は伸びゆく海外需要をさらに捉えたい」(堀江亮介常務)意向。海外インフラ分野(建築・橋梁)やエネルギー分野向け主体に海外市場に注力し、高級鋼の拡販を図りたい考えだ。

 造船向けでは高アレスト鋼板や高耐食性鋼板(商品名・JFE―SIP)、二相ステンレスクラッド鋼板など、また建機向けや建築向けでは耐摩耗性、低温靱性、溶接性に優れた耐摩耗鋼板「EVERHARD(エバーハード)」や高強度鋼板「HBL(ハイビル)440」などに注力する。

 海外を含む橋梁向けでは高耐候性鋼板(商品名・LALAC)や塗装寿命延長鋼板(商品名・EXPAL)、耐疲労鋼、ハイテンなどに注力する。エネルギー分野では強度グレードX80以上の深海用鋼管(ラインパイプ)用原板や圧力容器(タンク)用に力を入れる。

 素材の販売のみならず、需要家の厚板加工に対する提案も合わせたパッケージ販売にも取り組む。例えば耐摩耗鋼板のエバーハードでは溶接や曲げ加工、機械加工などについて、4カ国語で施行ガイドラインを作成している。

 こうした高級鋼は一般的に厚板ミルに対する製造負荷が高い。高級鋼比率拡大に伴い、精整能力の拡大が課題となる。JFEでは西日本製鉄所の倉敷地区・福山地区、東日本製鉄所の京浜地区にある厚板3ミルにおいて、精整能力の拡大を通じて高級厚板製品の生産能力拡大を進めている。

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