JOGMEC、海底熱水鉱床から鉱石採取し亜鉛地金製造に成功 年内に経済性評価など公表

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は10日、沖縄海域の海底約1600メートルに存在する海底熱水鉱床の鉱石から、国内製錬所の実操業炉を用いて亜鉛地金を製造することに成功したと発表した。昨年度に世界で初めて海底熱水鉱床の採鉱・揚鉱に成功したことに続き、地金製造に成功したことで海底鉱物資源を産業に利用できる可能性を示す大きな成果としている。

 今後は資源量評価、採鉱・揚鉱技術開発、環境影響調査の取り組みと併せて、現状の成果と課題をまとめ、経済性検討まで含めた総合評価を実施し、年内に公表する予定。

 海底熱水鉱床の鉱石に含まれる亜鉛や鉛などの有用鉱物は、陸上鉱石と比べ非常に微細で、一部の鉱物は陸上鉱石にあまりない鉱物種として含まれていることから従来の選鉱手法では目的鉱物を回収することが難しいとされていた。

 同プロジェクトでは、鉱物の特徴を十分検討した上で、海底熱水鉱床の鉱石から亜鉛鉱物を効率的に回収できる選鉱手法を10年間の試行錯誤の検証を重ねながら、秋田県大館市に設置した選鉱設備で実証試験を行ってきた。この結果、製錬所で受け入れ可能な製錬原料(精鉱)が得られたため、今年8月に国内製錬会社の協力のもと、原料の一部として実操業炉に投入し、亜鉛地金を製造することに成功した。

 海底熱水鉱床は、海底面から噴出する熱水から金属成分が沈殿してできた銅・鉛・亜鉛・金・銀などからなる多金属硫化鉱床。日本では沖縄海域および伊豆・小笠原海域に分布している。

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