余裕のある動力性能と優れた燃費を両立
人気の高い輸入車のMINI(ミニ)シリーズに、環境性能の優れたPHEV(プラグインハイブリッド)「MINIクーパーS E クロスオーバーALL4」が加わった。充電が可能なMINIのハイブリッド車(PHEV:プラグインハイブリッド)で、MINIクロスオーバーのシリーズに属している。
今ではすっかりお馴染みになったMINIクロスオーバーだが、通常モデルの外観と異なるのが、ボディ側面のフェンダー部分に普通充電ポート(充電コンセントの差し込み口)が装着される点。この部分のカバーには、充電コンセントイエローのイラストが描かれ、プラグインハイブリッド車であることを示している。
MINIクーパーS E クロスオーバーALL4に搭載されるパワートレーンは、最高出力が136馬力となる直列3気筒1.5リッターのMINIツインパワーターボガソリンエンジンに、最大出力が88馬力の電気モーターという組み合わせで、トランスミッションは6速ATだ。
後席の下側には充電された電気を貯めるリチウムイオン電池が搭載され、総電力量(電池の容量)は7.6kWhだ。EV走行換算距離は42.4km。200Vの充電で約3時間あれば、リチウムイオン電池を使い切った状態から満充電にすることが可能だ。
また電気自動車とは異なり、わざわざ充電をしなくてもハイブリッド車として走行できる。この時のJC08モード燃費も17.3km/Lと良好で、MINIクロスオーバーらしい余裕のある動力性能と、優れた燃費を両立させた。価格は消費税込みで498万円となる。
MINIクロスオーバーPHEVの気になるアレコレ|Q&Aコーナー
MINIクロスオーバーPHEVの概要が分かったところで、いろいろな疑問にこたえてみたい。
Q.どのくらいのコストで走れるのか?
A.満充電された状態で走れる距離は、前述のように42.4kmだ。この走行については、エンジンを始動させずに済む。フル充電に要する電気代はおおむね100円とされるから、1km当たりの走行コストは約2.4円だ。電気自動車にも当てはまることだが、この金額はきわめて安い。
JC08モード燃費が30km/L前後のハイブリッド車で1km当たりの走行コストは5円前後だから(レギュラーガソリン価格は1L当たり145円として計算)、充電された電気で走れば、出費を約半額に抑えられる。MINIの高効率なクリーンディーゼルターボと比較しても、同様に出費が半額以下になる。
Q.価格を含めて経済性は優れているのか?
A.MINIクロスオーバーPHEVの価格は前述の498万円で、十分な装備を標準装備している。しかもエコカー減税が免税だから、自動車取得税(12万4400円)と自動車重量税(3万円)が徴収されず、購入した翌年度の自動車税も3万4500円から9000円に軽減される(2万5500円の節約)。
加えてCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金の申請を行うと20万円の交付も受けられる(2018年度実績)。以上を合計すれば、37万9900円が軽減される。
Q.自宅以外でも充電することができるのか?
A.充電設備はコンビニエンスストア、ショッピングモール、市庁舎や区役所などにも設置され、2018年9月現在で1万4880箇所とされる。200Vによる充電の所要時間も、3時間程度に抑えられているから、出かけて用事を済ませている間に充電することも可能だ。
Q.ほかのMINIと比較して、運転感覚はどのように違うのか?
A.充電された状態であれば、エンジンを始動させずに電気自動車として走れるから、加速感が滑らかでノイズも小さい。気持ちの良い運転が行える。走行用電池(バッテリー)を床下に搭載する効果もあって走行安定性も高い。
また走行モードの切り換えにも注目したい。
「AUTO eDrive モード」であれば、エンジン駆動とモーター駆動を最も効率の高い使い分けをしながら走る。
「MAX eDrive モード」では、充電された状態であれば、時速125kmまでエンジンを始動させずに走行できる。環境性能が優れ、なおかつノイズも小さいから、深夜の住宅地を走ったりする時も効果的だ。
「セーブ・バッテリーモード」は、駆動用電池の残量が減るのを抑えるモードになる。高速道路を走った後で市街地を走行する時などは、このモードを使って駆動用電池の電気を温存すると効果的だ。市街地走行に移った段階で、高効率なモーター駆動を十分に行える。
Q.プラグインハイブリッドの機能を備えることで、車内が狭くなったりしないのか?
A.駆動用電池を後席の下に搭載するなど、空間効率を高めているから、実用性はほかのMINIクロスオーバーと同様だ。前後席の居住性が優れ、荷物も積みやすい。優れた環境性能を備えながら、MINIの便利さ、使う楽しさを犠牲にしていない。
Q.オプションなどは豊富にそろっているのか?
A.十分な装備を標準装着した上で、安全性や見栄えの良さを向上させるオプションも豊富だ。
リヤ・ビュー・カメラやPDC(パーキング・ディスタンス・コントロール)フロント&リアをセットにしたPEPPERパッケージ(12万円)、19インチアルミホイール(9万2000円~12万8000円)、リヤスポイラー(2万6000円)、ヘッドアップディスプレイ(8万1000円)など、多彩に用意されている。これらの選べる楽しさも、ほかのMINIと同様だ。
先進の環境技術がMINIの個性を際立たせる
ハイブリッド車の好調な売れ行きからも分かるとおり、最近は環境性能の優れたクルマを求めるユーザーが増えた。しかし運転感覚など、クルマが持つ楽しさも大切にしたい。
このバランスを高い水準で両立させたのがMINIクロスオーバーPHEVだ。外観はカッコ良く、運転感覚は楽しく、なおかつ環境性能も優れている。
しかも普通のハイブリッド車ではなく、充電のプラグイン機能も備える。日本車の場合、ハイブリッド車は豊富に揃うが、プラグインハイブリッドはまだ少数だ。MINIクロスオーバーPHEVであれば、先進の環境技術を所有できる。
そしてモーター駆動による滑らかで静かな加速感は、MINIの上質な走りをさらに高める役割も果たしている。つまり優れた環境性能を、MINIの個性を際立たせることにも結び付けた。
今なら「32時間未来ドライブ」と題して、MINIクロスオーバーPHEVのモニター体験者も募集している。興味を持たれたら、気軽に応募されると良いだろう。楽しくて新選なひとときを味わえると思う。
[Text:渡辺 陽一郎 / Photo:小林 岳夫 / MINI]