横浜市、空き家解体の代執行停止 所有者、自主解体の意向

 所有者の行方が分からず放置しておけば倒壊の危険性があるとして、横浜市が空き家対策特別措置法に基づき、略式代執行を公告していた神奈川区の老朽家屋について、所有者が自身の責任の下で解体する意向を市に伝えていることが11日、分かった。

 市は12日までに解体されなければ代執行に踏み切る方針だったが、解体業者との契約などの手続きをいったん停止。当面は、所有者の動向を見守るとしている。

 市建築局によると、住宅は1945年築の木造2階建て(延べ床面積約40平方メートル)。後方に傾き、劣化が著しい。今年6月には1階部分の窓が強風で外れて落下。市は、今後も通行者に危険を及ぼす可能性が高いとして、略式代執行の対象となる「特定空き家」に指定した。代執行が実施されれば市内初のケースとなる。

 今後は、所有者側が解体事業者の選定・契約などの手続きを進める。同局の担当者は代執行となった場合、数百万円の市税投入が見込まれたとした上で、「自主改善に向けて動きだして良かった。しばらくは(所有者側の)動向を見守りたい」と話している。

倒壊の危険が指摘されている横浜市神奈川区の家屋(同市提供)

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