打は互角、巨人は投手陣コマ不足か セ・リーグCS1stを対戦成績から占う

巨人・坂本勇人【写真:Getty Images】

ヤクルトは主力4選手が打率3割超、バレンティンは6本塁打21打点

 CSファーストステージを争うヤクルトと巨人の今季対戦成績は、ヤクルト13勝、巨人11勝1分。しかし、得点は巨人が126点、ヤクルトが111点と巨人が上回っている。巨人は勝つときは大勝するが、負けるときは惜敗が多かった。

 ヤクルトの本拠地、神宮球場ではヤクルト6勝(60得点)、巨人3勝(46得点)とヤクルトが優勢だった(他にヤクルトのホームゲームを鹿児島で2試合、静岡で1試合開催している)。

 両軍の直接対決での戦績を見ていこう。

 主要な打者の対戦成績。通算安打数上位12人。

◯ヤクルト打者の巨人打撃成績

青木宣親 93打36安2本8点0盗 率.387
山田哲人 100打35安5本18点5盗 率.350
坂口智隆 88打28安0本2点1盗 率.318
雄平 72打27安1本8点1盗 率.375
西浦直亨 91打27安4本13点0盗 率.297
バレンティン 92打24安6本21点0盗 率.261
川端慎吾 56打14安0本6点0盗 率.250
中村悠平 61打14安1本4点0盗 率.230
畠山和洋 31打9安1本6点0盗 率.290
大引啓次 16打7安2本4点0盗 率.438
上田剛史 16打7安0本1点0盗 率.438
廣岡大志 23打6安0本3点0盗 率.261

 青木、山田、坂口、雄平が対巨人戦3割超。バレンティンは6本塁打21打点。打線に穴らしい穴はなく、故障者もいない。万全と言える。

◯巨人打者のヤクルト打撃成績

マギー 97打35安7本22点0盗 率.361
坂本勇人 70打28安6本16点2盗 率.400
岡本和真 97打27安5本11点1盗 率.278
亀井善行 83打23安4本13点1盗 率.277
長野久義 63打20安2本14点0盗 率.317
吉川尚輝 70打17安0本5点0盗 率.243
田中俊太 47打15安1本1点1盗 率.319
ゲレーロ 45打13安2本7点0盗 率.289
小林誠司 51打11安1本11点0盗 率.216
阿部慎之助 30打10安1本10点0盗 率.333
大城卓三 24打8安1本3点0盗 率.333
陽岱鋼 47打5安0本5点0盗 率.106

 巨人ではマギーと坂本勇人がヤクルト戦を得意にしている。吉川尚、最近好調だった重信が戦線離脱しているが、主砲の岡本和真が好調。打線としては互角と言ってよいだろう。

 問題は投手陣だ。

巨人投手陣は先発、救援ともに駒不足か

◯ヤクルト先発陣の巨人戦戦績

小川泰弘 5試4勝0敗 35回1/3 防御率1.53
カラシティー 6試0勝1敗1S 14回2/3 防御率1.23
原樹理 6試1勝1敗 23回 防御率3.13
ブキャナン 5試2勝2敗33.2回 防御率3.48
石川雅規 2試0勝0敗 7回 防御率12.86

 2016年から巨人戦8連勝中、「新ジャイアンツキラー」の異名がついた小川泰弘が初戦先発。これに今季、先発、救援で活躍したカラシティーか、あるいは8月16日の巨人戦で完封した原樹理が続くか。

◯巨人先発陣のヤクルト戦戦績

今村信貴 1試0勝1敗 6回1/3 防御率4.26
メルセデス 3試1勝1敗 20回 防御率0.45
菅野智之 4試3勝1敗 30回 防御率1.80
吉川光夫 6試2勝1敗 25回2/3 防御率3.16
内海哲也 2試0勝1敗 10回2/3 防御率5.91

 巨人は、10月9日に1イニングとはいえ救援でマウンドに上がっている絶対的なエース菅野智之が2戦目に登板する見込み。初戦の先発は今村と発表された。短いイニングをつないででも勝利を拾いたいところだ。

◯ヤクルト救援投手陣の巨人戦績

石山泰稚 12試0勝0敗6S1H 13回 防御率2.77
中尾輝 10試1勝1敗0S4H 10回2/3 防御率3.38
風張蓮 10試2勝0敗0S1H 10回2/3 防御率5.06
近藤一樹 11試0勝1敗1S4H 10回2/3 防御率7.59

 クローザーの石山が元気だ。10月1日の巨人戦では亀井にソロを打たれるなど2失点したが、10月2日から4試合連続セーブでフィニッシュしている。ただ、今季最多ホールドの近藤は巨人戦ではよく打たれている。先発とクローザーの間をどうつなぐか。先発から投手を回す可能性もあるだろう。

◯巨人救援投手陣のヤクルト戦績

山口俊 5試2勝2敗0S0H 28回 防御率4.18
畠世周 2試0勝0敗0S1H 1回2/3 防御率0.00
池田駿 3試0勝0敗0S1H 1回2/3 防御率0.00
澤村拓一 9試0勝0敗0S2H 9回2/3 防御率2.79

 菅野智之が終盤、完封を連発したのは、救援投手が故障や不振で総崩れだったことも理由の1つ。澤村拓一は10月4日に出場登録されたが、まだ投げていない。

 打線はともかく、投手陣を見る限り、巨人は先発、救援ともにコマ不足で厳しい。常識的に考えてヤクルトの有利は揺るがないが、どのように戦っていくだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)

© 株式会社Creative2