金属行人(10月15日付)

 スクラップの過積載が原因とみられるトレーラーの横転により、対向車線で下敷きになった軽自動車の3人が死亡する事故が千葉市で発生したのが9月8日。約1カ月経過した先日、あふれんばかりにスクラップを満載したトレーラーを都心部で見かけた。一見しただけで過積載とは言い切れないが「大丈夫か」と心配になった▼事故を受け、日本鉄リサイクル工業会や関東鉄源協同組合は積載量順守の再確認を要請する緊急文書を会員・組合員に送付。「今後、二度とこのような痛ましい事故が起こらぬように」と呼び掛けた。少なくとも先日見かけたトレーラーの社名は鉄リサイクル工業会や関東鉄源のメンバーではなかった。緊急文書の要請が会員・組合員各社で守られていると信じたい▼文書だけでなく、関東鉄源は今年12月契約までの3カ月間、入札の上限を1万トンに抑制すると決めた。組合員が定量積みを徹底できる数量とする狙いで、商社には1万5千トンなど大口の札入れを控えてもらう。残念ながら10月契約は不調となったが、過積載防止に実効性のある取り組みではないか▼燃料高やドライバー不足で輸送費が高騰する中、少しでも輸送効率を上げてコストを削減したいというニーズは高まっている。スクラップに限らず、重量物を運ぶ鉄鋼業全体に共通する課題として改めて過積載に注意したい。

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