グンゼ「肌着教室」、3年で1000人以上が受講

グンゼは2016年から、主に近畿地区の小中学校で「肌着教室」を実施している。女性社員が、肌着や汗に関する講義を無償で行い、子どもたちの衛生的で健康的な体づくりを応援する取り組み。開催は今年の分も含め9月末で29回を数え、1000人以上の小中学生が受講した。同社はこの取り組みを通じ、子どもたちが親になった際も、「肌着教室」で得た知識を自身の子どもたちに伝えていく二次的な展開を期待し、活動を継続したいとしている。 (オルタナ編集部=中島洋樹)

モニターを使っての説明

肌着を着る理由の1つに温度変化への対応がある。肌着の素材は綿である場合が多い。理由は綿繊維の吸湿性が高いからだ。綿繊維には内側と外側で温度差ができると、内側の水分を吸い取り、外側へ発散しようとする性質があるという。さらに、通気性にも優れ、汗をかく季節は水分を吸い込み、外に放出する際に気化熱を奪うので涼しく過ごせる。寒い時期は素材自体の熱伝導率が低いため体の熱を温存でき、暖かく過ごせる。

他には、肌着を着ることによって、身体の大事な部分を摩擦や刺激、紫外線、日焼けなどから保護する。肌着により、汗を吸い取って、服が汚れるのを防ぐなどといったことがある。そういった意味でも、風邪や病気などにかからないようにするため、肌着を着ることは重要だ。

同社大阪本社では、最近肌着を着ていない子どもたちが増えていることから、肌着を着る必要性や、身体の仕組みと肌着の役割などについて周知する活動を模索していた。

実験の様子

そんな折、当時のCSR推進室担当者が、子どもの居場所を作る「おおさか元気ひろば」の存在を知り、2016年に講師派遣プログラムに社員を派遣した。

大阪府教育委員会が実施する「おおさか元気広場」は、市町村事業として、教室や体育館など小学校施設で展開している。

2016年7月、第1回の「肌着教室」が大阪府泉佐野市の小学校で開催された。直近の今年7月の開催までで29回を数える。これまでに小学生約1000人、中高生約160人、教員・PTA約50人が受講した。大阪府、京都府、兵庫県、和歌山県、広島県で開催実績がある。

事務局は広報IR室に設置され、講師は研究所、アパレルMD本部、広報IR室それぞれから2人ずつの合計6人の女性社員が担当している(10月1日現在)。

肌着博士認定証

「どうして肌着を着るのか」「汗はどうして出るのか」「清潔で気持のいい毎日を送るためにはどうしたらいいか」といったテーマに基づき、クイズや実験を交えて45分のカリキュラムにて無償で行われる。受講を終えると「肌着博士認定証」が送られる。

同社広報IR室の担当者は、「『肌着教室』を通じて、子どもたちに肌着や身体の仕組みについて理解していただくことはもちろん、子どもたちが親になり、自分の子どもにも『肌着教室』で得た知識を伝えていく二次的な展開も期待し、今後も活動を続けていきたい」と語った。

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