「早婚防止を」バングラデシュの19歳、相模原で講演

 10代前半での早すぎる結婚から逃れた経験を持ち、早婚の防止活動に取り組むバングラデシュの大学生、シーラ・アクテールさん(19)が12日、相模原市南区の相模女子大学中学部と高等部で講演した。スラム街で育ち、学費を稼ぎながら勉強し、貧困に苦しむ若い女性が教育を受けられないまま結婚していく現実を目にしてきた。願うのは若い女性の人権が尊重される社会だ。

 首都ダッカのスラム街で育ったシーラさんの人生が一変したのは13歳の時だった。サウジアラビアで出稼ぎしていた父親が大けがをして働けなくなり家計は悪化。「一度も会ったことがない30歳ぐらいの男性との結婚を家族が決めた」という。

 「もっと勉強がしたい」と思い、結婚式の2日前に家を逃げ出し、結婚は中止となった。家に戻ると「恥さらしだ」と地域のコミュニティーから爪はじきにされ、家族からも無視される「つらい日々でした」と振り返る。

 小さな子どもに勉強を教えて学費を稼ぎ、中学校に通学。高校に入る頃には家族が応援してくれるようになった。現在、同じような境遇にある子どもたちに“早すぎる結婚”をしないよう伝える活動を続けている。将来の夢はソーシャルワーカーとして若い女の子の力になることだ。

 バングラデシュでは20~24歳の女性の約60%が18歳未満で結婚しているという。社会参加の機会が奪われ、体が未成熟な状態で妊娠・出産すると流産してしまうケースもある。「貧困や慣習が背景にあり、教育を十分に受けられない女性が多い」とシーラさん。高等教育を受け、女性のために闘う姿を「女の子らしい人生ではない」と批判する人もいる。それでも「教育を受けた女の子には力があることを示したい。若い女性の権利を守りたい」と言葉に力を込める。

 シーラさんは国連が定めた11日の「国際ガールズデー」に合わせて、国際NGO団体「プラン・インターナショナル」の招きで来日。最も楽しみにしてきたのが同校での交流で、生徒と一緒に昼食や茶道を楽しんだ。中学3年生の藤原爽さん(15)から「家族から無視される生活はつらくなかったですか」と質問されると、「自分は正しいという信念があったから」と笑顔で答えていた。

 藤原さんは「自分もシーラさんのような強い信念を持てる人になりたい」と話していた。

早すぎる結婚の根絶を訴えるバングラデシュの大学生シーラさん

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