東北大学多元物質科学研究所と金沢大学、福田結晶技術研究所は、Fe―Ga(鉄―ガリウム)単結晶の大型結晶の製造に成功するとともに、低コストで板状成形する技術を確立したと発表した。電池を代替する振動発電デバイスの実用化に道筋がついたことでIoTの実用化を加速する技術として期待されている。
同研究チームは、従来にない直径4インチ直動胴10センチの巨大単結晶合金の製造に成功した。さらにマルチワイヤーソーを用いたスライス加工により、低コストで板状に成形する技術も確立した。
従来法ではウエハー1枚の作成に1日程度を要したが、切断工程を見直し、砥粒などの条件を最適化することで単結晶のインゴットから板材までを数時間から半日程度で加工可能であることを確認した。
磁歪材料の一つであるFe―Ga単結晶は、非常に優れたエネルギー変換材料で、小型で高出力、高感度な振動発電デバイスの根幹部分を占める材料。振動発電が実現すればボタン電池や乾電池を利用しない無線通信モジュールが実現でき、さまざまな分野・用途でIoTを普及させることができる。
振動発電デバイスは同単結晶の板を利用したシンプルな構造で耐久性も高いが、コストが高いことが課題だった。