長崎工高ロボット研究部 全国大会に  「最高のパフォーマンスを」 

 長崎県立長崎工業高(長崎市岩屋町)のロボット研究部が、9月にあった県高校ロボットコンクールで2年ぶりに優勝。山口県で今月開かれる全国大会に出場する。ロボット製作に懸ける思いや苦労、全国大会への抱負を聞いた。

 ロボコンは毎年度、全国大会の開催地ごとの特色を生かし、競技内容は毎回変更される。予選を兼ねた県大会も、全国大会に沿って、ほぼ同じルールで行われる。

 本年度は、山口県の産業や観光地にちなんだ課題を、各校が自作するロボットに取り組ませてその完成度をみる。テニスボールやメガホンといった「アイテム」を指定の場所に運ばせるなどすると難易度に応じた得点があり、その合計点で競う。

 ルールは4月に公表。各校は、生徒が操作するリモコン型と、スイッチを押したらプログラム通りに動く自立型の2体のロボットを自作し、大会に臨む。ロボットの大きさや重さには制限があるが、アイテムを持ち上げる方法や走行方法などは自由。それぞれの“戦略”に沿って創意工夫する。昨年度はアイテムが1種類だったが、本年度は6種類に増えており、課題は年々難しくなっているという。

 長崎工業高のロボット研究部は10人が所属。今回全国への切符をつかんだのは1~3年の5人組。県大会にはそのうち2、3年の4人で出場した。本年度のルールを基に4月以降、入念に作戦会議。主にリモコン型を3人、自立型を1人が製作した。

 「先生にアドバイスをもらいながら、基本的には自分たちで決めていく。ロボットがうまく動くとやりがいがある」。リモコン型を製作し、大会本番は操縦を担当する建築科2年の出口朗さん(16)はこう話す。

 競技時間は3分間。その中でアイテムの難易度や得点を考えつつ、リモコン型にどのアイテムを運ばせるのか、「つかむ」や「すくう」などの持ち方をどうするのか、自立型にはどのようなセンサーを搭載して動きを制御するのか-など、アイデアを練り、1~2カ月かけて設計した。

 特に苦労したのは、アイテム「五重塔」の攻略法だ。輪切りにしたパイプ状のものと正方形の板を運んできて、それらを交互に重ねて五段の塔を作るという課題で、得点も高いが難易度も高い。そのための設計に1週間以上かけ、パイプと板を別々のアームでつかませ、交互に積み上げていく方法を発案した。

 設計後、部品は昔のロボットを解体したりホームセンターなどで探したりして調達し、製作。試行錯誤を重ね県大会1週間前の9月上旬、作戦通りに動かすことに成功した。

 ロボットは学校の住所にちなみ、「岩屋獣」と名付けた。部長の機械科3年、溝口颯太さん(18)は「何もないところから半年かけて作るので愛着がある。家に帰ってからも、どこか壊れないだろうかと考えてしまう」と語る。

 すべて順調だったわけではない。県大会直前、自立型に不具合が発生。担当した情報技術科2年の中島慶人さん(17)は、「急にうまくいかなくなり、ギリギリまで調整したが間に合わなかった。だからできるだけ点数を取れるように作戦を変更した」と振り返る。

 県大会では、予選を3位の130点で通過し、決勝では2位と20点差の180点で優勝した。リモコン型担当で、大会では操縦者に指示をする機械システム科2年の永田湧さん(17)は「全国大会までにロボットを完璧な状態にして、最高のパフォーマンスができるようにしたい」と語る。

 全国大会は20、21の両日開催。県大会2位だった県立大村工業高も出場する。

ロボコンの全国大会に出場する県立長崎工業高ロボット研究部のメンバー=同校
アームを動かしてパイプと板を交互に積み上げていくリモコン型ロボット
スイッチを押せばプログラム通りの作業をする自立型ロボット
本番と同じ仕様の競技コート。リモコン型ロボットが写真右側の決められた場所にアイテムを運ぶ。自立型ロボットは写真奥の「橋」の上を動く

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