難民、国籍の壁…荒波を乗り越えて 倉木健治さん(パラローイングコーチ)

障がい者のボート競技「パラローイング」。現在、自ら立ち上げたパラローイングチームのコーチを務める倉木健治さんは、所属する選手たちへの指導、サポートを行っている。これまでの人生には、さまざまな困難や苦労があった。

カンボジア内戦まっただ中の1982年、両親が身を寄せていたタイの難民キャンプで生まれ、4歳の時に一家でボートピープルとして日本へ。5歳の時にポリオ(小児まひ)を患い、後遺症で左足に尖足(せんそく)障がいが残った。

自らの障がい、国籍を意識し始めた思春期――。ボートとの出合いは高校時代。一気に才能が開花し、健常者に混ざってインターハイにも出場した。次の目標は、2008年北京パラリンピックに日本人として出場。しかし、そこに立ちはだかった壁は「国籍」。さまざまな理由から17年もの歳月を要して、2013年に帰化した。

以降、倉木さんは「コーチとして選手を育てる」という新たな道を見つけ、視覚障がい、肢体不自由、知的障がいなど、あらゆる選手の指導にあたる。普段はとてもユニークなキャラクターで選手たちに慕われている。

「この子たちのために苦労することは何の苦でもない、むしろ今が一番楽しい」

叶わなかったオリンピック出場の夢を選手に託し、今日もボートを漕ぐ。

 


倉木健治(くらき・けんじ)

倉木健治さん (パラローイングコーチ)

1982年生まれ 36歳 パラローイングチーム「湖猿(こざる)」コーチ。

カンボジア内戦まっただ中にタイの難民キャンプで生まれ4歳の時に日本へ亡命。5歳の時にポリオを患い、その後遺症で左足に尖足(せんそく)障がいが残る。2013年に帰化。自身で付けた「倉木健治」という名前は大ファンの倉木麻衣から取っている。カンボジア名はルーム・レットさん。2017 年 6月 全日本マスターズレガッタ混合ダブルスカルで優勝。

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