「子どもに居場所を」会館閉館で母親ら講演会 鎌倉

 地域での子どもの居場所をテーマにした講演会が18日、長谷公会堂(鎌倉市長谷1丁目)で開かれた。学識経験者やNPO法人が実践する取り組みを報告。さまざまな年齢の子どもが集い、それぞれが自分らしく過ごせる場所の必要性について、参加者が意見も交わした。

 講演会では、沖縄大の加藤彰彦・名誉教授が、横浜市の生活相談員だった時に開いた、不登校の児童向けの勉強会について説明。児童にどんな会なら行ってみたいか聞いては意見を取り入れるうち、参加者が徐々に増えたエピソードを紹介し、「主人公は子ども。その声に耳を傾けることが大切」と訴えた。

 続いて、子どもの体験学習などに取り組むNPO法人「鎌倉てらこや」顧問で、早大の池田雅之・名誉教授が登壇。学生ボランティアと一緒に、隠れ家づくりや稲作などを楽しむ場所を設けてきた歩みを振り返り、「子どもが自分らしく生きていくには、体験して感じたことを表現することが必要」と語った。

 長く親しまれてきた「長谷子ども会館」(同)が老朽化などを理由に閉館したことを受け、地元の子育て中の母親らが団体「長谷子ども会館を残したい!」を立ち上げ、講演会を企画した。

 講演会後、市内外から集まった参加者約100人が、子どもの居場所づくりについて議論。主催者側が「年齢や所属を問わず遊べることが大切」「安心して過ごせて、異なる年齢が関わり合えると良い」などと投げ掛けると、参加者からも「家でも学校でもない居場所をどう確保するか考えたい」「地域住民にも、関心を寄せてもらいたい」などの意見が寄せられた。 

地域に開かれた子どもの居場所について考えた講演会=長谷公会堂

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