海外旅行先で買ったものはいくらまで免税になる?お酒・たばこ・香水に注意

海外旅行に出かける人の「特権」ともいえる免税の制度。海外で購入したものは、いくらまで免税で日本に持ち込めるのでしょうか。

海外旅行の免税範囲には、あまり知られていない盲点も。免税を賢く利用するために、知っておきたい海外旅行者の免税範囲と、税関チェックで注意したいポイントをお伝えしましょう。

海外旅行者の免税の条件とは?

外国製品を日本に輸入する際、通常は所定の関税が課されますが、海外旅行に出かけた人が現地で買い物をして日本に持ち帰る場合は、一定の条件で関税が免除されます。

これが、海外旅行者の免税です。では、その条件とはどのようなものなのでしょうか。まず前提として、個人的に使用するものであることが挙げられます。

必ずしも「旅行者本人が使用しなければならない」という意味ではなく、お土産とするぶんには問題ありませんが、商品や商品のサンプルとしてビジネスを目的に持ち込む場合には、免税の対象外となります。

なお、「免税」というと、海外旅行先で現地の消費税などが免除されることを指す場合も多いですが、ここでいう免税は、外国で購入した物品を日本に持ち込む際に関税などが免除されること。現地の消費税などが免除になる免税とは、また別の仕組みであることを理解しておきましょう。

海外旅行者の免税範囲は20万円

後でご紹介する一部の品目を除き、海外旅行者の免税範囲は、大人一人につき海外市価で20万円まで。本人が手荷物として持ち込む物品に加え、旅行先で購入して別便で日本に送ったもの(別送品)がある場合は、それも合算します。

ただし、この20万円という枠にはちょっとしたカラクリが。一品目あたりの合計額が1万円以下の物品は原則として免税扱いになるため、計算に含める必要がないのです。

たとえば、1000円のチョコレートを5点持ち込む場合、品目の合計額は5000円と、1万円以下のため、20万円の免税枠から除外することができます。

そのため、海外で購入したものが免税範囲に収まっているかどうかを考えるとき、気にすべきは一品目で1万円を超えている物品と、別途ルールが定められている特定の物品ということになります。

お酒・たばこ・香水は別ルール

金額に関係なく、個別にルールが定められている物品が、お酒とたばこ、香水。

それぞれ免税で持ち込める量が決められており、お酒は1本760ミリリットルのものが3本、紙巻たばこは400本、香水は2オンス(58ミリリットル)までです。ここでいう「香水」にオーデコロンやオードトワレは含まれず、それらはその他の品として20万円の免税枠に算入されます。

なお、2021年10月1日から、たばこの免税枠の変更が予定されており、それ以降は紙巻たばこ200本までが免税となります。一箱20本入りのたばこなら、免税になるのは10箱まで。まとめ買いをするとすぐに免税範囲を超えてしまうので要注意です。

免税範囲を超えた場合の課税額は?

免税範囲を超えてしまった場合、いったいどのくらいの税金が課されるのでしょうか。

税率は品目によって異なりますが、一部の品目は簡易税率が適用されており、紙巻たばこは1本あたり12.5円、ワインは1リットルあたり200円、ビール・発泡酒は1リットルあたり300円が課されます。

関税と消費税の両方が課されるもの、消費税のみが課されるものと、条件によって課税の方法は色々ですが、一般的に、課税されたとしても同じ外国製品を日本で買うよりは安く済みます。

帰国時の税関チェックで気をつけること

海外旅行を終えて日本に帰国する際には、空港の税関で「携帯品・別送品申告書」を提出します。これは、国籍や免税範囲を超えているかどうかにかかわらず、日本に入国する旅行者全員が提出する書類。

免税範囲を超えている場合は、「1.下記に掲げるものを持っていますか?― 免税範囲(B面を参照)を超える購入品・ お土産品・贈答品など」の項目にチェックを入れ、正しい数量を記入したうえで、税関の赤いレーンへと進みます。

空港の税関チェックでは、原則として、免税範囲を超えていない人は緑のレーン、免税範囲を超えている人は赤のレーンを自分で選択して検査を受けますが、免税範囲を超えているかどうかわからない場合も、赤のレーンを選んだほうが無難。

免税範囲を超えているのにもかかわらず、申告していないことが発覚した場合は、法令により処罰を受ける場合もあるので注意しましょう。

海外製品を持ち出す際は申告を

腕時計やアクセサリーなどの高額な外国製品を身に着けて旅行に出かける場合には、日本出国時に税関への申告が必要です。

「自分の持ち物なのに、なぜ申告が必要なの?」と思いますが、申告せずに海外旅行に出かけて帰国してしまうと、それが今回の旅行で新しく購入したものなのか、以前から持っていたものなのか区別がつかなくなり、課税されてしまう恐れがあるからです。

少々面倒ではありますが、それも必要以上に課税されないための防衛策。日本出国時には「外国製品の持出し届」に記入し、税関の確認印を受けましょう。

海外旅行慣れしている人ほど、深く考えずに「免税範囲を超えるものはない」と申告しているかもしれませんが、意外な落とし穴もあるのが税関。

「知らなかった!」では済まされない事態にならないために、正しくルールを把握して、賢く海外旅行者の特権を活用したいものです。

[税関パンフレット「海外旅行者の皆様へ 通関案内」]

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