3月末閉館になった長崎水族館(長崎市宿町)で12年間にわたって市民に親しまれてきた人気者のラッコたちが4月7日、他の飼育施設に引き取られて行った。
長崎水族館のラッコ飼育は1986年11月、米アラスカ州の野生のラッコ3匹を捕獲し、飛行機で運んできたのが始まり。当時はラッコブームで、日曜祝日などには約1万人もの市民らが見学に訪れたという。
同日、引っ越したのは全部で5匹いるラッコのうち4匹。このうちアラスカから来た3匹の中で唯一生存している崎(さき)と、同館で生まれた娘・智佐(ちさ)、生後半年でまだ名前のない雌の3匹は「マリンワールド海の中道」へ、崎の孫の幸(さち)は「長崎バイオパーク」へ、それぞれ引き取られた。
引っ越し作業は、まず館内の飼育施設「ラッコ館」の水槽の水を抜いた後、大切にラッコを箱の中へ。職員総出で運び出し、トラックに乗せた。輸送に万全を期すため、トラック内の温度、湿度を一定に保っての出発。長年、飼育に携わった職員らはいつまでも名残惜しそうに見送った。
残る1匹、太郎も来週、横浜市の横浜八景島シーパラダイスに引き渡される。
同館は、長崎市などが主体となって水族館事業を引き継ぐ方向で協議を進めており、残っているペンギンやメコンオオナマズなどは当面、飼育を続ける。
(平成10年4月8日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

