三方よし

 客よし、店よし、地域よし。こんな「三方よし」の精神で行われているという。2003年に愛知県岡崎市で発祥した「まちゼミ」▲店の経営者や従業員が講師となり、専門知識を生かした少人数制の講座を開く。客は無料でプロの技を教わることができ、店にとっては新規客を引き寄せるきっかけとなる。店に客が増えれば商店街がにぎわい、これで三方よしとなる▲岡崎まちゼミの会からノウハウを教わり、県内でも13年ごろから実施する商店街や商工会が相次いでいる。同時開催でPR効果を上げようと、このたび初めて足並みをそろえ、県内6地域で約1カ月間にわたって開催中だ▲長崎市の新大工商店街のチラシをめくってみる。洋品店の「秋冬のコーディネイトお悩み相談会」、うどん店の「飲み比べで分かるダシの上手な使い方」、個別指導塾の「子育て&孫育て講座 ほめ方、叱り方編」…。多彩なラインナップに好奇心をそそられる。身近な店の魅力や価値を再発見できるかもしれない▲郊外への大型店進出やネット通販の浸透など、ここ20年余りさまざまな逆風にさらされ続けてきた地域の商店街。だが、それらに負けず踏ん張る店があちこちにある▲まちゼミが広げる「三方よし」の精神。そうして県内各地の商店街が活気づいていくのを見たい。(泉)

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