福祉の仕事に喜び、施設職員の声集め本に

 相模原市内で福祉施設を運営する社会福祉法人「相模福祉村」の理事長赤間源太郎さん(52)が、職員から体験を聞き取ってまとめた著書「あおいとりの贈り物」(幻冬舎)を刊行した。お年寄りや障害のある人たちと触れ合う職員らの目を通じ、福祉の仕事でしか味わえない喜びがつづられている。

 相模福祉村は障害者施設、高齢者施設、児童の保護施設、認可保育園など77事業所を市内で運営、約600人が働いている。著書には職員6人の七つのエピソードが紹介されている。

 居宅介護支援センターでケアマネジャーとして働く女性職員は、車いすを利用しているお年寄りの男性の担当となった。男性が日々を楽しく暮らせるよう奔走し、男性の葬儀で号泣。男性の息子から「家族の誰よりも泣いていたよ」「ありがとう」と言われたことが「今も心の中に残っています」と感じている。

 障害者支援施設で働く男性職員は、家族以外と会話できない引きこもりの男子中学生を担当。中学生は当初、他人を寄せ付けない態度だったが、施設で笑顔を見せるようになった。「その姿に驚きつつ、感動していました」という職員の思いがつづられている。

 赤間さんは2016年に同市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者が殺害された事件が起きた際、生き生きと働く職員の思いを一冊にまとめることを思いついたという。「職員が日々感じている感動を伝えることで、福祉の仕事の素晴らしさを多くの人に伝えたい」と話している。

 1400円(税抜き)で、市内の書店などで販売されている。市に200冊寄贈し、市内の市立小中学校や図書館などに配架されている。

著書「あおいとりの贈り物」を刊行した赤間源太郎さん

© 株式会社神奈川新聞社