東日本大震災を機に移住した5人「恩返したい」 レゲエグループ「RAINBOW MUSIC」

 かつて高島炭坑で栄えた長崎県長崎市高島町で、島の魅力を発信するレゲエ音楽のグループがいる。「RAINBOW MUSIC(レインボー ミュージック)」。メンバー5人全員が東日本大震災を経験したことを機に、活動拠点を関東から高島に移して歌い続けている。リーダーでボーカルのNiNi(ニーニ)さん(38)=福島県出身=は「高島は(余分な)音がなく、良い音を作り出せる場所。自分たちの曲を聴いて、高島に来てもらいたい」と語る。

 レインボーミュージックはボーカルのニーニさん、nonco(ノンコ)さん(33)、PARA(パラ)さん(34)、ANCHE(アンチェ)さん(33)と、DJ担当のCaZya(かずや)さん(29)。いずれも千葉や福島、神奈川県出身で、2008年に結成した。関東を中心に活動していたさなかの11年3月、東日本大震災を経験した。

 メンバーが高島に拠点を移したのは、2013年にニーニさんが復興支援の九州ツアーの一環として初めて訪れたのがきっかけ。その4カ月後には移り住んだ。人口約370人、1周約6・4キロの小さな島。ニーニさんは「自分たちができる音楽は『ここだ』と直感した。震災がきっかけで、生きているうちに好きな音楽をやりたいと思った」と打ち明ける。

 昨年までにメンバー全員が家族とともに移住。妻子と移住したパラさんは「子どもが突然病気になったときは困るけれど、優しい島の人たちが気軽に声を掛けてくれることがうれしい」。

 島の暮らしは音楽活動にも弾みをつけた。顔を合わせやすくなり、初めてのCDを含む7枚も作った。高島の魅力が詰まった曲「タカシマタカラジマ」は、島の子どもたちと一緒に制作。文化祭でも歌われている。

 島にとってもメンバーは欠かせない存在になった。高島ターミナルの受け付けや海の家、高島トマトの収穫の手伝い…。島の仕事の担い手になっている。

 もちろん本業でも。ターミナルなどで定期的にライブを開き、音を楽しむ場をつくっている。長崎市立高島町小5年、鍛治屋天君(10)は「自然と体が動く楽しいリズムが好き。来てくれてなかったら島が盛り上がらなかったと思う」と話す。

 20日午後の島のミニライブ。グループの熱唱に会場は笑顔で満ちた。ニーニさんは「ミュージックビデオを作って県内外に自分たちを知ってもらい、高島に恩返しをしたい」。グループの明るくて温かい歌声が、優しく島を包み込んでいる。

高島でライブをするレインボーミュージックのメンバーら=長崎県長崎市高島町

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