Jの隠れたヒーロー!味方の緊急事態に登場する第2GK

ゴールキーパーというポジションは特殊である。

出場メンバーの中で唯一ユニフォームの色が違い、ゴールマウスに立つことが許されるのはチームで1人だけ。

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リーグ戦ではゴールキーパーを固定したがる監督がほとんどで、他のポジションと異なり序列が入れ替わることもほとんどない。

しかし、守護神の退場や負傷などのアクシデントに対応しなければならないのが第2ゴールキーパーという立場の宿命である。そんな難しい役割を担っているJリーガーを紹介する。

曽ヶ端準(鹿島アントラーズ)

鹿島一筋の大ベテラン。

十数年アントラーズのゴールマウスを一人で守り続けてきたが、Kリーグ3年連続ベストイレブンの実力者クォン・スンテの加入により、昨季ついに定位置を失ってしまう。

スンテの負傷もあってそのシーズン中にポジションを奪い返してみせたが、今季は再びスンテがレギュラーの座に復帰している。

しかし、好不調の波が激しく、集中力の欠如から時折信じがたいミスを犯すスンテとは対照的に安定感に優れ、周りへのコーチングでも力を発揮する曽ヶ端の存在は重宝されており、リーグ杯や天皇杯だけでなく、リーグ戦で起用されることも。

ACLでも勝ち進み、これからハードスケジュールが待ち受けるが、特に大舞台においてこの男の真価が発揮される。

菅野孝憲(北海道コンサドーレ札幌)

今シーズン加入した札幌ではここまでリーグ戦で出番が無いが、柏時代にリーグ制覇を果たし、ACLやクラブワールドカップに出場した経験値は貴重である。

これほど出場機会が少ないのは長いキャリアの中でも初めてだが、決して腐ることなくベテランらしく味方を盛り立てる。チームがゴールを決めると一番にベンチを飛び出し、スコアラーを抱擁するシーンを今年何度見たことか。

180cmに満たない身長はゴールキーパーとしてはかなり小柄な部類に入るが、特徴は瞬発力。猫のような反応で相手のシュートに対処する。

かつては日本代表にも選出された経歴もあり、身長に悩みを抱える全てのゴールキーパーに勇気を与える存在である。

桐畑和繁(柏レイソル)

チームの絶対的な守護神だった中村航輔が2度の脳しんとうで現在も長期離脱中。復帰の目処も立たない状況でその穴を埋めているのが桐畑だ。

柏のユース出身だがプロ入り後は出場機会が少なく、立ち位置は主にカップ戦要員。13年目にして自身最多のリーグ戦の出場試合数を記録している。

サイズを活かしたダイナミックなプレーに定評があり、柏がリーグ優勝した2011年も当時正守護神だった菅野の負傷離脱の穴を見事に埋め、チームのタイトル獲得に貢献していた。

味方のアクシデント時に登場して完璧に対応してみせる。まさに第2ゴールキーパーの手本のような存在だ。

**林瑞輝(ガンバ大阪)

ジュニアユースからガンバ一筋。ユース所属時はキャプテンを務め、世代別の日本代表の経験もある。

トップチームでは東口順昭の壁があまりに高すぎ、これまでU-23を主戦場としていたが、その東口の負傷に伴い今年のセレッソ大阪戦でJ1デビューを果たした。絶対に負けることが許されないホームの大阪ダービーで急遽回ってきた出番にもひるまず、無失点で抑えチームの勝利に貢献するそのタフなメンタルは大一番でこそ発揮され、PKストッパーの呼び声も高い。

その後の東口不在の4試合でも、危険を顧みない果敢なプレーを披露し、その穴を埋めてみせた。

来シーズン、出場機会の見込めるJ2もしくはJ3クラブへの武者修行に出てさらに経験を積めば、大物になりそうな予感はある。

前川黛也(ヴィッセル神戸)

元日本代表ゴールキーパーの前川和也を父に持つサラブレッド。

ユニバーシアード日本代表にも選ばれ、大学ナンバーワンGKの肩書きで神戸に加入するも、韓国代表正ゴールキーパーのキム・スンギュの分厚い壁の前にリーグ戦で出番は無い。

しかし、190cmの恵まれた体格と父親譲りのポテンシャルは確かで、未来の日本代表に推す声も少なくない。

控えめな選手が多いチームではムードメーカーの役割を担っており、ピッチ外でも場を盛り上げる。性格の似たルーカス・ポドルスキとは大の仲良しで、遠征中でもプライベートでも常に一緒にいる。

ポドルスキのInstagramに度々登場するため、ドイツで密かに人気になっているとも。

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