【平成の長崎】中島川にアユ どこから来たの?いつからいるの? 平成10(1998)年

 長崎大学教育学部の東幹夫教授らのグループはこのほど、長崎市の都市部を流れる中島川で、清流にすむアユが戻ってきていることを確認した。中島川は長崎市内でも水質改善が進んでいる川。水質浄化が進めば、都市河川でも淡水魚の多様性がよみがえる例として注目されそうだ。

 東教授が1972年ー1977年、長崎県内の河川の淡水魚類の調査を行ったとき、中島川にはアユは生息していなかった。しかし先月地元の人から2-3年前からこの季節になると、アユが姿を見せるようになったという話を聞いた。

 このため、10月22日、中島川の古町橋付近を訪れ、アユ数十匹が泳いでいることを確認。11月13日、同橋付近で投網を使って捕獲調査し、全長19・3センチから23センチのアユ3匹を捕獲した。

 東教授は「春に海から川をさかのぼってきたアユは、夏の間上流で育ち、産卵のためにまた下りてきたとみられる。下水道の普及や地域住民によるホタルの里づくりなどの水質浄化の取り組みが功を奏したのではないか。長崎市のもう一つの代表的な都市河川、浦上川の下水道普及率(96年度56・6%)のアップが望まれる」と話している。

 長崎県環境保全課によると、中島川東新橋における69年度の年間平均BOD(生物化学的酸素要求量)は69ミリグラム/リットルだったが、75年度にはBOD9・9ミリグラム/リットルと環境基準をクリア。97年度は中島川流域の下水道普及率は87%に達し、BODは1・7ミリグラム/リットルにまで下がっている。

(平成10年11月14日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

長崎市の中島川で捕獲されたアユ

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