童謡歌い継ぐ 文芸雑誌「赤い鳥」創刊100年 「ダ・カーポ」「山田姉妹」CDリリース

 文芸雑誌「赤い鳥」が1918年に創刊され、今年で100年を迎えた。同誌に掲載された詩を基に多くの童謡が作曲されたことから、今年は「童謡誕生100年」とも言われている。節目の年に次の世代にも童謡を歌い継ごうと、県内出身のアーティスト2組が相次いでCDをリリース。夫婦デュオ「ダ・カーポ」と双子のソプラノデュオ「山田姉妹」に、作品に込めた思いを聞いた。

 今年、デビュー45周年を迎えた横浜を拠点に活動する夫婦デュオ「ダ・カーポ」。「結婚するって本当ですか」「野に咲く花のように」など、ヒット曲を生み出す一方で、30年前から童謡や抒情(じょじょう)歌もライフワークとして歌い続けてきた。

 7月に、CD「童謡&抒情歌 ファンタジーベスト-明日への贈りもの-」(全40曲収録)を発売。夫の榊原まさとしと、妻の広子は「童謡は日本の四季の風情を歌っていて、子育てをする時にもとても大切な“世界観”が詰まっています」と語る。

 ♪肩まで入ってあったまろう 外は北風吹いてます

 ライブ活動も一緒に行う長女でフルーティストの麻理子を育てる時は、約20曲のオリジナルソングを作り、子育ての中に取り入れた。

 童謡では、「かなりや」(作詞・西條八十(やそ)、作曲・成田為三)に二人は心を寄せる。

 ♪唄(うた)を忘れた金糸雀(かなりや)は、柳の鞭(むち)でぶちましょか いえ、いえ、それはかわいそう

 唄を忘れた金糸雀は、象牙(ぞうげ)の船に、銀の櫂(かい) 月夜の海に浮べれば 忘れた唄をおもいだす

 「どんな子どもも個性を認めてあげれば、“忘れた唄を思い出す”んです。簡単な詩だけど、良く読んでみると深いメッセージがある」と広子。まさとしも、「童謡は子どもたちを囲んだ家族の姿が多く歌われていて、童謡が歌われている世界では虐待は行われないんじゃないか。だからこそ、大切に歌い継いでいきたい」と言う。

 逗子市出身の「山田姉妹」も、「青い眼の人形」「野菊」「赤とんぼ」など全22曲を収録したCD「故郷 日本の愛唱歌Ⅰ」を9月に発売した。

 「里の秋」(作詞・斎藤信夫、作曲・海沼實)の“休符”に、「昔の情景がありありと浮かぶ」と妹の麗(れい)は言う。

 「歌詞の『栗の実 食べては』の後に休符があり、その後に『おもいだす』と歌うのですが、休符の所で遠くにいるお父さんを思い出しているんだろうなと、自分では感じて歌っています」

 「ラインやメールをすればすぐに連絡ができてしまう時代だからこそ、昔の人の繊細な思いが詰まった童謡を大切にしたい」と姉の華(はな)。

 二人は「若い人にも伝わるよう、アレンジを工夫して、Ⅱ、Ⅲと続くよう、童謡を歌い継いでいきたいです」と話している。

 「ダ・カーポ」は11月6日、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)で童謡などを披露するコンサートを開く。一般5千円(全席指定)など。午後1時半開演。10人を同コンサートに招待。はがきに氏名、住所、連絡先を明記して応募。締め切りは10月31日消印有効。当選者にのみチケットを送付。〒244-0801、横浜市戸塚区品濃町517の1、パークハウス南の街411、「ダ・カーポ音楽事務所」へ。いずれも問い合わせは、同事務所TEL045(820)1838。

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