長崎県産米「なつほのか」初出荷 暑さに強い新品種

 本年度から長崎県内各地で本格栽培されている暑さに強い県産米の新銘柄「ながさき なつほのか」が25日、初めて出荷された。耐暑性に優れ、暑さで味や品質が落ちないことが特徴で、県は生産者の所得向上につながると期待している。県は2020年度までに県全域で約1200ヘクタールまで栽培を広げる方針。
 県によると、県産米の新銘柄は12年度の「つや姫」以来6年ぶり。県内ではヒノヒカリ(作付面積約6千ヘクタール)、にこまる(同約2千ヘクタール)に次ぐ第三の品種に育てたいとしている。
 「なつほのか」は鹿児島県で開発され、長崎県では12年度から松浦市を中心に現地試験を開始。16年度、県内の特性に合う品種として奨励品種に採用した。
 県内主力の「ヒノヒカリ」と比べると、暑さへの耐性が優れており、本年では出穂後20日間の平均気温約29度でも形や味の調った米が十分収穫できたという。温暖化が進み、高温による米の品質低下が問題となる中、収穫時期が早く、夏を越えて良い状態が保てる品種として注目。本年度は県北、県央、壱岐3地区などで本格生産が始まり、計約230ヘクタールの作付けを見込む。
 主力産地の一つ、松浦市では25日、JAながさき西海松浦営農経済センターで式典があり、約50人が出席した。松田辰郎組合長は「耐暑性に優れた待望の品種。しっかり定着させ、安定共有したい」とあいさつ。テープカットで祝い、県内の米卸会社への初出荷(12トン)を見送った。
 生産者を代表し、農事法人「清流の里 木場」代表理事の太田黒正司さん(69)は「順調に育ち、粒が大きくおいしいお米ができた。県民に広く親しまれればうれしい」と話した。

県産米の新品種「なつほのか」の初出荷をテープカットで祝う関係者=松浦市志佐町、JAながさき西海松浦営農経済センター
県産米の新品種「なつほのか」

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