ハワイ移民を支えた邦字紙 JICA横浜で企画展

 日本人によるハワイへの集団移住150周年を記念し、ハワイ移民と邦字紙が担った役割をテーマにした企画展がJICA横浜海外移住資料館(横浜市中区)で開かれている。1868年(明治元年)に移住した「元年者(がんねんもの)」がハワイで生き抜いた軌跡や現地で形成した日本人コミュニティーについて展示している。12月24日まで。

 初期移民の歴史や現地で発行された日本語新聞が日系社会で果たした役割をパネル約25枚で紹介。外務省外交史料館が所蔵する移民に手渡された心得書や、ハワイに労働移民した日本人の人権を守るために締結した「日布渡航条約」の調印書や批准書など貴重な資料約25点も間近に見ることができる。

 旅行代理店の社員として現地に通算27年駐在し、同資料館で展示案内ボランティアを務める浅沼正和さん(71)=同市旭区=は「第2次世界大戦時に欧州戦線へ派遣されていた日系二世との交流が忘れられない。過酷な戦地で戦ったにも関わらず非常におおらかだった。戦時中は日本の文化を周囲に見せないようにしていたようだが、戦後は積極的に日本と関わりを持とうとしていた」と振り返る。

 入館無料。月曜休館。11月3日には元外務省外交史料館課長補佐の柳下宙子さんによる「バックヤードから語る移民史~外交史料こぼれ話~」と題した講座が開かれる。問い合わせは、同資料館電話045(663)3257。

JICA横浜 海外移民資料館で展示案内ボランティアを務める浅沼さん=横浜市中区

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