広島県鉄鋼連合会、異業種工場を見学 デニム大手カイハラ訪問、20人参加

 広島県鉄鋼連合会(理事長・結城惠司結城鋼材社長)は17日、研修部会を開催し、デニム生地メーカーのカイハラ(本社・広島県福山市)の工場を訪問した。異業種の生産現場を見学することで、新たな可能性を探るのが目的。若手を中心に約20人が参加した。

 カイハラはブルーデニム生地で国内シェアの50%以上を占め、世界約20カ国に輸出するトップメーカー。

 紡績・染色・織布・整理加工とデニム生地一貫生産体制を構築している吉舎工場(同県三次市)は床面積2万平方メートルの工場規模。当日は貝原潤司副会長から会社の歴史や市場動向、生産工程を説明を受けた後、デニムの表情を決定づける染色工程とユーザーが望む風合いに仕上げる整理加工の見学へ。600~1千本の綿糸はロープ状に束ね、油を落としたのち染色工程へと進む。原糸が染料の浴槽を何度も通過し、インディゴブルーに染め上げられる工程は溶融亜鉛めっき鋼板ラインを彷彿させた。整理加工では表面のケバ焼きやユーザー要望に沿って生地の目を引き締めるアルカリ処理などを施していた。

 次に訪れた三和工場(同県神石郡神石高原町)で綿から糸を作る精紡、織布工程を見回り、広大な原綿倉庫や120台の自動精紡設備がうなりをあげて稼働する様子に目を奪われた。本社工場に移動後は、全員でハンカチを紺に染める染物体験を行った。

 結城理事長は「まったく畑違いの会社を訪問。営業の方は新たな発見を、現場の方は生産現場を見て何か気づきや参考点が必ずあると思う。今後は業界同士がコラボする時代が必ず来る。我々鉄鋼業界も後れを取ることなく、コラボの可能性を探っていきたい」と話している。

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