オバマ氏に「爆弾」送った男、トランプ氏の熱狂的ファンだった

By 太田清

 

パイプ爆弾とみられる小包が送られる事件に関係している疑いがあるとして、米警察当局が捜査した車両=26日、米フロリダ州(WPLG―TV提供、AP=共同)

 オバマ前大統領やクリントン元国務長官ら米民主党有力者らに宛てたパイプ爆弾とみられる不審な小包が相次ぎ見つかった事件で26日、容疑者が南部フロリダ州で逮捕された。CNNなど米主要メディアが伝えた。同州在住のシーザー・セヨク容疑者(56)で、司法当局は犯行に至った動機など事件の全容解明を進めるが、これまでの報道で、同容疑者が熱狂的なトランプ大統領の支持者であった可能性が強まっている。 

 同容疑者が乗っていたバンの窓ガラスには、トランプ大統領やペンス副大統領を称賛する写真が多数貼られていた一方、クリントン氏や、トランプ氏に批判的な映画監督マイケル・ムーア氏の顔に赤いペケ印を付けたり「不誠実なメディアCNN」と、CNNを批判するような写真もあった。トランプ大統領とみられる人物が、米国国旗を掲げ「トランプ」と書かれた戦車の上に立っている大きな劇画も貼られていた。 

 一方、ツイッターにはハンガリー出身の著名投資家ジョージ・ソロス氏やクリントン、オバマ両氏を批判する投稿をしていたほか、SNS上ではトランプ氏支持を象徴する「MAGAハット」(「アメリカを再び偉大にする」とのトランプ氏のスローガンが書かれた帽子)をかぶり、トランプ氏支持集会に参加、「歓迎、トランプ大統領」「CNNは最低」などと書かれたポスターを掲げる同容疑者とみられる映像や写真も見つかった。

 フロリダ州の複数の会社で働いていたものの、経済的に困窮し自宅を差し押さえられたほか自己破産を申請したとの報道もある。地元の電力会社を爆破すると脅迫した罪で有罪判決を受けた経歴もあったという。 

 同容疑者は共和党員。セッションズ司法長官は同容疑者が爆発物の郵送や前大統領への脅迫など少なくとも5件の罪に問われ、有罪が確定した場合、最大禁固48年を言い渡される可能性があると語った。 

 トランプ大統領は「このようなテロ行為は卑劣であり、米国では認められない」と非難。同容疑者がトランプ氏支持者だったとの記者の問いかけには 「私をほかの人よりも好んでいた人物だったと聞いた」と述べるにとどまった。 

 米メディアでは事件が、11月6日に行われる連邦議会の中間選挙にどのような影響を与えるかに関心が集まっている。 (共同通信=太田清)

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