交流戦ではソフトバンクが広島を圧倒 日本シリーズでも“お得意様”とできるか?

ソフトバンク・工藤監督【写真:藤浦一都】

ソフトバンクはCSファイナルで強打が爆発

 リーグ覇者の西武を下し、シーズン2位からの“下剋上”で日本シリーズ出場権を勝ち取ったソフトバンク。パ代表として戦う大舞台を前に「パーソル CS パ」ファイナルステージでの戦いぶりと、交流戦での対戦成績を振り返り、決戦の展望を見ていきたい。

 日本ハムとのファーストステージを制し、メットライフドームへ乗り込んだソフトバンク。ファイナルステージではシーズン1位の西武が1勝のアドバンテージを持つ上に、第1戦に先発するのは先発4番手以降。シーズン2位だった分、不利な状況からのスタートとなるが、選手たちはそのハンデをものともしない戦いぶりを見せた。

 迎えた初戦、ソフトバンクは西武のエース・菊池を攻略し、重要な初戦を16安打10得点と大勝で飾る。第2戦ではリーグ王者の強力打線が本領を発揮。11被安打13失点とめった打ちに遭い、アドバンテージを含めて1勝2敗とリードを奪われる。

 敗れれば一気に西武へと流れが傾きかねない第3戦、チームを救ったのは初戦で猛攻を見せた打線だった。計16安打15得点で2勝2敗のイーブンに戻すと、第4戦でも勢い止まらず、連勝で3勝2敗。日本シリーズ進出に王手をかけ、迎えた第5戦は1点差まで追い上げられながら、一度もリードを許さず。敵地で見事な戦いぶりを見せ、シーズン2位からの逆転で日本シリーズ進出を決めた。

 5試合で計28得点という数字が示す通り、西武の打撃陣はポストシーズンでもその猛打を発揮していた。しかし、ソフトバンクが5試合で挙げた得点数は、それを大きく上回る44得点。強力打線を武器にリーグを制した王者に打ち勝ったことは、日本シリーズに向けても明るい材料の1つとなるだろう。

打では柳田と上林、投では武田と石川が好調維持

 中でもMVPに輝いた柳田の活躍ぶりは特筆もので、5試合で打率.450、2本塁打、8打点。自らの出身地であり、幼少期からのファンと公言している広島との“因縁の対決”で、チームの大黒柱がどんな活躍を見せてくれるか、注目が集まるところだ。

 また、グラシアルも打率.500と絶好調を維持しており、ファイナルステージ第5戦では意表を突くセーフティバントでチャンスを拡大した。第3戦でサイクルヒット王手の大活躍を見せた上林、この大一番に合わせて復帰して打率.455と、さすがの勝負強さを見せた内川といった主力の好調も頼もしい。ただ懸念されるのは、シーズンで4年連続の全試合出場を果たし、リーグ3位タイの32本塁打を放った松田宣の不調だ。ファースト、ファイナルステージの双方で、打率.167とスランプが続いている。

 投手陣では千賀が、ファーストステージで6回2失点(自責点1)、ファイナルステージで5回1失点と安定感を発揮している。リリーフ陣では、武田と石川がファイナルステージでの2度の登板で防御率0.00とほぼ完璧なピッチングを見せた。早めの継投がカギとなる短期決戦において、ロングリリーフをこなせる両投手が好調をキープしていることは重要な意味を持つだろう。

 第5戦に先発して強力打線を相手に堂々としたピッチングを見せた高橋礼が、さらなる大舞台でどのような投球を見せてくれるかということも、シリーズ全体の流れを左右するポイントかもしれない。

交流戦ではソフトバンクの23勝10敗3分、広島は“お得意様”

 ともに過去に黄金期と呼ばれる時代を迎えた経験を持つソフトバンクと広島だが、両雄が日本シリーズで相まみえるのは今回が初めて。交流戦におけるソフトバンクと広島の対戦成績を改めて確認しておきたい。ソフトバンクから見た、直近10年間の対広島の年度別成績は以下の通り。

2009年 3勝1敗
2010年 2勝2敗
2011年 3勝0敗1分
2012年 3勝0敗1分
2013年 2勝2敗
2014年 4勝0敗
2015年 1勝2敗
2016年 1勝1敗1分
2017年 2勝1敗
2018年 2勝1敗
合計 23勝10敗3分

 以上のように、過去10年間の対戦成績ではソフトバンクが大きくリードする形に。広島が久々のAクラス入りを果たし、強豪へと成長する足掛かりを作った2013年以降の6年間に限定しても、12勝7敗1分と5つの貯金を作っている。

 もちろん交流戦と日本シリーズでは、全く別の戦いになると考えることもできるだろう。しかしながら、対戦相手に対して「お得意様」という心理的に優位な考えを持てることは、ソフトバンクにとって有利に働くはずだ。

 圧倒的な選手層を生かして近年のパ・リーグを席巻してきたソフトバンクと、球団史上初のセ3連覇を達成して黄金期を謳歌している広島。両リーグを代表する強豪同士が激突する大一番で、ソフトバンクは常勝軍団らしい戦いを見せられるだろうか。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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