山本、スーパーフォーミュラ最終戦予選ポール獲得で逆転王座に望み。石浦はまさかのQ2敗退で11番手

 全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の公式予選が10月27日、鈴鹿サーキットで行われ、山本尚貴(TEAM MUGEN)がポールポジションを獲得した。スーパーフォーミュラは今大会が最終戦。2018年のチャンピオン獲得に向け、山本が予選PPで1ポイントを稼ぎ、最高の形で決勝レースを迎えることになった。

 午前中に行われたフリー走行はウエットコンディションで始まったものの、次第に路面状況が回復。公式予選を迎えるころにはややウエットパッチが残るが、ドライコンディション。気温21度、路面温度25度のなか、各ドライバーによるポールポジション獲得に向けたタイムアタックが始まった。

■Q1:圧巻のトップタイムをマークした山本。石浦は滑り込みQ2進出

 20分間で争われる予選Q1。前半のアタックでトップに立ったのは石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)。その後、山本がそのタイムを上回る。

 山本は計測2周目には1分38秒591のタイムを叩き出し、トップをキープ。2番手に中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)、3番手には国本雄資(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が続く。

 しかし開始5分すぎ、野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のマシンから大量の煙が吹き、そのままピットロードに。野尻はピットロードの最終コーナーよりにマシンを停め、マーシャルの消化作業によってマシンからの白煙は収まったたものの、このアクシデントにより赤旗が提示され、セッションは一時中断となった。

 野尻が駆るDOCOMO DANDELION M5S SF14が煙を出した原因はオイル漏れの様子。野尻はここで予選アタックから退くこととなった。セッションはコース上にも落ちたオイルの処理を終え、中断から約15分後に再開している。

 Q1セッションは残り時間約14分で再び始まった。石浦を先頭に続々とコースインするなか、チャンピオン候補の一角、山本はピットでステイ。ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)らがタイムを更新するも、山本のタイムには届かない。

 セッション再開後約7分をすぎたころから、2回目のタイムアタックが始まった。ここで山本がついにコースイン。計測1周目で自身のトップタイムを更新して1分38秒477をマークすると、トップを堅守。この時点で、石浦がいまだノックアウトゾーンに留まっている。

 2回目のアタックに入った石浦はセッション最終盤で計測3周目に入ると、セクターから自己ベストを更新。セクター3でやや遅れたものの11番手にまでタイムを上げ、Q1突破圏内に滑り込んだ。

 Q1は山本がそのままセッションを制し、2番手には塚越広大(REAL RACING)、3番手にはカーティケヤンが続いている。

 ポイントランキングでトップにつけるニック・キャシディ(KONDO RACING)は8番手でQ2進出。一方、チャンピオンの可能性をわずかに残す関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、Q1敗退を喫するまさかの結果となった。

 関口に加え、トム・ディルマン(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING)、千代勝正(B-MAX RACING TEAM)、マシントラブルとなった野尻がQ1で姿を消した。

■Q2:ランキング2番手の石浦、Q2敗退の波乱

 自力チャンピオン獲得の可能性を持つキャシディ、石浦、山本含む14名で争われた予選Q2。セッションがスタートしたものの、全車ピットでステイするなか、最初にコースへ飛び込んだのは、松下信治(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。セッション残り5分を切ると、続々と各車がコースインする。

 一方、Q1の赤旗中断後と同様にピットに留まることを選択したのは、ランキング3番手の山本、そしてチームメイトの福住仁嶺だった。このふたりはセッション残り3分を切ってコースに入っている。

 計測1周目でトップに立った平川だったが、タイムを塚越、中嶋が更新する。しかしそのタイムをさらに上回ったのが、Q1でトップタイムを守った山本だ。山本は多くのドライバーが計測2周目にアタックするなか、計測1周目にアタックして1分38秒008をマーク。その後、各ドライバーともに最終盤で続々とタイムを詰めるが、Q1と同様に山本のタイムに及ばない。

 山本はそのままQ2を制し、トップでQ3進出。2番手には中嶋、3番手には塚越が続いた。山本ともにチャンピオンを争うキャシディは最後のアタックで7番手に飛び込み、Q3進出を確保している。

 一方、ここで山本と明暗が分かれる形になったのは石浦だった。石浦は計測2周目で1分38秒761とタイムを詰めることができず、11番手に沈みQ3進出を逃す。石浦はタイトルをかけた明日の決勝レースを、6列目から迎えることになった。

 また、国本、松下、大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、福住、ジェームス・ロシター(VANTELIN TEAM TOM’S)がQ2で予選を終えている。

■Q3:山本、予選を完全制覇でポールポジション獲得

 タイトル争いを占う意味でも重要なセッションとなる予選Q3。開始3分すぎにキャシディがコースに出る一方、山本はゆっくりと時間を待ってコースインしていく。

 チャンピオン獲得の可能性を残す平川が計測1周目で1分38秒553をマークしトップタイム。しかしこのタイムを、Q1、Q2とトップタイムを叩き出した山本が1分37秒909と貫禄のアタックで更新する。

 続いて山下健太(REAL RACING)がこのタイムに迫らんとするが、1分38秒193で惜しくも届かず2番手。3番手には中嶋が続いた。

 ランキングトップにつけるキャシディはQ2と同様に計測2周目にアタックし、山本は計測1周目にアタックしていた。結局ニック・キャシディは山本のタイムに届かず4番手となり、2列目からチャンピオン獲得に向けた戦いに挑むことになった。

 山本はポールポジションを獲得し、1ポイントを獲得。これでランキング2番手の石浦とポイントで並び、ランキングトップのキャシディとのポイント差を、4ポイントに縮めている。予選ではQ1、Q2、Q3とすべてをトップタイムで制し、山本が鈴鹿マイスターの名を存分に発揮する形になった。

 自力チャンピオンの可能性を持つ3人のうち、ポールポジションスタートの山本に対しキャシディは4番手、石浦は11番手スタートとなる。果たして最後に笑うのは誰か。2018年のチャンピオン決定戦となるスーパーフォーミュラ第7戦決勝レースは、明日14時15分に火ぶたが切られる。

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