全国白バイ競技大会 長崎県警36年ぶり団体優勝 交機隊・岩谷さん、本山さん けが抱えながらも快挙

 今月6、7日に茨城県ひたちなか市で開催された第49回全国白バイ安全運転競技大会で、長崎県警交通機動隊の岩谷裕輝巡査部長(31)と本山裕基巡査長(28)が出場した団体(第2部)で長崎県警が優勝した。長崎県警の団体優勝は36年ぶり4回目の快挙。岩谷さんは「目標以上の結果が出せて良かった」、本山さんは「より自信を持って取り締まりに当たりたい」と喜びを口にする。

白バイにまたがる(右から)岩谷巡査部長と本山巡査長=諫早市多良見町、長崎県警本部交通機動隊

 負傷を抱えての出場だった。キャプテンを務めた岩谷さんは大会1カ月前、オフロード訓練中に転倒し、右足くるぶし付近を負傷。傷口は化膿(かのう)して腫れ、一時歩行も難しい状態だった。
 本山さんは7月に椎間板ヘルニアを発症。状態をみながらトレーニングする中、9月中旬に再び悪化。医師から2カ月間の絶対安静を告げられた。出場断念が頭をよぎったという。昨年も2人で団体に出場し6位入賞を果たしていた。「去年、家族や隊員、OBの方たちも本当に喜んでくれた。岩谷さんと組めたら、今年もいい結果が出るだろうと信じていた」。周囲の期待に応え恩返ししたいという思いが、折れそうな心を支えていた。
 診断の10日後、本山さんは腰にコルセットを巻いて訓練場で白バイにまたがった。通し練習もできないまま出場を決めた。
 団体(第2部)には大規模都府県を除く35道府県警と皇宮警察が出場。バランス走行操縦など4種目の2人の合計点で競う。本山さんはコルセットを外し痛み止めの薬を飲んで挑んだ。大会1日目を全体1位で終了。2日目は一時3位まで順位を下げたが、最終種目で逆転優勝を成し遂げた。
 卓越した技術を出し尽くした大会を終え、現在は通常の取り締まり業務で県内各地を奔走し、治安維持に目を光らせている。白バイ歴7年の岩谷さんは「優勝を機会に、県民に白バイの存在をより知ってもらい、交通安全の啓発につなげていきたい」、3年目の本山さんは「交通事故や違反を少しでも減らせるように取り組みたい」と意気込みを語る。

トライアル走行操縦を競技する岩谷さん(長崎県警提供)
傾斜走行操縦(スラローム)を競技する本山さん(長崎県警提供)

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