大中尾棚田で火祭り 幻想的な竹筒の灯

 日本の棚田百選に認定されている長崎市神浦下大中尾町の大中尾棚田で27日夕、恒例の火祭りがあり、角力灘を望む斜面に幻想的な風景が広がった。
 大中尾棚田保全組合(尾崎正博会長)が稲刈りを終えたこの時期、収穫祭を兼ねて開いている。夕暮れとともに、田んぼを縁取る約6千個の竹筒に灯がともると「つどう仲間と 守ろう棚田」の文字が中央に浮かび上がった。
 高齢化が進む同棚田では16年前にオーナー制度を導入。田んぼに来て田植えや稲刈りなどを体験してもらい、交流を深めながら棚田を守ってきた。同組合が制度を立ち上げたときのメンバーの一人、竹本久一さん(79)は「感謝の意を込めたイベント。立派な火祭りになってうれしい」と目を細めた。
 二胡(にこ)など楽器の音色が流れる中、訪れた人たちは揺れ動く温かい光にうっとり見とれていた。

温かな光が大中尾棚田を包んだ火祭り=長崎市神浦下大中尾町

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