子どものてんかん小児科医解説 新薬登場や治療進歩も紹介

 意識の喪失やけいれんなどの発作を起こす慢性脳疾患「てんかん」で、子どもへの対応を解説する市民公開講座「こどものてんかん」(日本てんかん学会主催)が27日、約140人が参加し横浜市西区のパシフィコ横浜で開かれた。最前線で診療に当たっている県内の医師が、新薬の登場、外科手術などで急速に進歩している治療の現状を紹介。「希望を持ち、てんかんに立ち向かってほしい」と訴えた。

 川崎市立多摩病院小児科の宮本雄策部長は「子どものてんかんの8割は治るてんかん。その場合は過剰な配慮はせず、周囲の子どもと同様の体験をさせてほしい」と指摘。一方、残り2割の「てごわいてんかん」についても、北里大医学部小児科学の岩崎俊之診療教授が「抗てんかん薬の進歩、外科治療の充実が予後を良くしている。今後に期待できる」とした。

 聖マリアンナ医科大神奈川てんかんセンター(県てんかん診療拠点機関)の太組一朗副センター長は、県内の医療機関などによる「てんかんネットワーク」で診療体制の整備が進められ、県内の専門医も36人を数えることを解説。外科治療についても「標準治療であり、外科手術で良くなっている人がたくさんいる」と、有効性を説明した。

子どものてんかん治療について解説した市民公開講座=パシフィコ横浜

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