伝統の流鏑馬奉納 松浦・志佐くんち

 長崎県松浦市志佐町の淀姫神社(中川明宏宮司)で26日、例大祭の志佐くんちがあり、900年以上の伝統を誇る流鏑馬(やぶさめ)が奉納された。降りしきる雨で視界が悪い中、的に矢を見事命中させた射手の技に見守った観衆が盛大な拍手を送った。

 淀姫神社の流鏑馬は、松浦市無形民俗文化財。的に当たった矢の数で作物の豊凶を占い、五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する神事という。駆ける馬が起こす風に当たると無病息災に、落ちた矢を拾うと良縁に恵まれるとされている。

 射手を務めたのは松浦市調川町の自営業、福田邦光さん(70)と平戸市生月町の自営業、中村嘉宏さん(49)。烏帽子(えぼし)と狩衣(かりぎぬ)姿で神社前の馬場(約100メートル)に登場し、3カ所に設けられたネムノキの的に馬上から矢を射て的中させ、見物客を魅了した。

 今年は18本のうち12本が命中。中川宮司は「今年も豊作が期待できる。悪天候の中で無事に執り行えたことも踏まえ、良いことが起こると思う」と笑顔で話した。

駆け抜ける馬の上でバランスを取りながら弓矢を構える射手=松浦市、淀姫神社

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