金属行人(10月29日付)

 秋の味覚にちなんだ話題を一つ。つい1カ月半前のこと、青森県の物産品コンクールで「八戸サバ缶バー」が最高賞の知事賞を受賞した。八戸市の水産加工会社が手掛けたサバ缶で、いろいろな味を楽しんでもらいたいとの考えから、味は全6種類に上る。主役は今が旬、八戸港に水揚げする地元のブランドサバ「八戸前沖さば」▼中身とともに、味ごとに色とりどりのパッケージが好感されているようだ。コレクターが現れたり、結婚式の引き出物として用意されたり。門出の一幕に彩りを添える光景は、発想一つで無限の可能性を秘める缶の魅力を改めて感じさせる▼昨今盛んな町おこしやご当地グルメのブームも重なり、各地の土産店には地域色豊かな食材やその加工品の缶詰がずらり。「旅の思い出を詰めて」とは、全国の「ご当地缶」を紹介する専用サイトのキャッチコピー。食べ切りサイズで、なかなか出向きにくいエリアの名品珍品が手軽に楽しめるのもまたありがたい▼市場では、近く期間限定でオイルサーディン缶詰と、この11月に連載50周年を迎える大人気劇画のコラボレーション商品が販売される。どれもこれも手に取ってもらってなんぼ。個性豊かな缶詰たちが鉄需の裾野を広げる。

© 株式会社鉄鋼新聞社