部員不足のため、今年の夏で60年以上の歴史に幕を閉じた五島市立崎山中野球部の廃部式が27日、長崎県五島市下崎山町の同校であった。生徒対OBの記念試合や地域住民らの支援金で設立した記念碑の除幕などのイベントがあり、多くの関係者が名残を惜しんだ。
同部OBで最後の監督を務めた村上富憲校長(60)によると、1947年に創部。休部した時期もあったが、五島市中総体で過去5回優勝した記録が残るという。本年度の部員は13人。7月の長崎県選手権地区予選を最後に3年生7人が引退し、廃部となった。現在はバスケットボール部を発足させ、1、2年生が練習に励んでいる。
崎山地区では、野球部に対する試合での声援や練習の手伝いなど、OBや地域住民の協力が盛ん。OBが昨年から、練習環境の充実のための寄付を募ると計約50万円が寄せられ、一部を部の沿革や成績などを記した記念碑の設置費用に充てた。野球部の記憶を残し、バスケ部の今後の活躍を祈って「球夢永遠に」と刻んでいる。
廃部式には生徒のほか、OBや保護者など50人以上が詰め掛けた。生徒対OBの試合では、バットの快音が校庭に響くたびに歓声と拍手が沸き、和やかな雰囲気の中で有終の美を飾った。村上校長は「生徒たちは、崎山中野球部で学んだ我慢強さなどを高校生や社会人になっても忘れず、活躍してほしい」と目を細めた。