BMW 新型X4 試乗│走りだけでなく、快適性能も向上したスポーツSUV

BMW 新型 X4 ボディカラー:フラメンコ・レッド・ ブリリアント・エフェクト

X4が初のモデルチェンジ

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好調な売れ行きが伝えられる一連のBMW Xモデルだが、このところますます活気づいている。

約1年前には中核の「X3」がモデルチェンジ。そこに今年に入ってニューフェイスの「X2」が加わったことで、ついに「X1」から「X6」までが揃った。そして今回紹介する「X4」が初のモデルチェンジを実施。さらには、すでに海外では新型が発表された「X5」や、新たに加わったフラッグシップの「X7」も、そう遠くないうちに日本にやってくることになる。

高めのアイポイントにより見晴らしがよく、たっぷり荷物の積めるSUVとしての価値に加えて、なによりも走る楽しさにこだわった点がXモデルの他社との違いであり、それゆえBMWでは、あえて「SAV(=スポーツ・アクティビティ・ビークル)」と通常とは違う呼び方をしていて、中でもクーペ版を「SAC(=スポーツ・アクティビティ・クーペ)」と表現しているのはご存知のことだろう。

これまでの線ではなく“面”で動きを表現したエクステリア

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従来の初代X4はSACとして2番目に2014年に登場しており、比較的短いモデルライフでの全面改良となるが、2代目となる新型X4はまず見た目がよくなった。

流麗なルーフラインを描く初代X4もスタイリッシュではあったものの、どこがどうというわけでもないのだが、なんとなく物足りない気もしなくなかった。ところが新型X4は、線よりも面で動きを表現したボディパネルの微妙な造形や、ワイドになったL字型LEDテールランプなど、ところどころ見受けられる既存のXモデルにはない新しい意匠の要素も効いてか新鮮味もあり、従来よりもダイナミックな雰囲気が増していて、存在感と優雅さが際立って目に映る。

スポーティかつエレガントなイメージのインテリア

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インテリアも従来型は登場当時すでに一世代前という印象があったところ、新型は一気にリフレッシュされて、最新のものがふんだんに与えられている。さらに、今回の「M40i」にはスポーティかつエレガントなイメージを高めるセンサテック・ダッシュボードが与えられている。

ただし、このフォルムゆえ後方視界はあまりよろしくなく、とくに斜め後方の隠れる部分の面積が大きいのは否めないが、その相反としてこのフォルムが実現しているのだから、ヨシとしようではないか。なお、従来型の「M35i-」は左ハンドルだったところ、新型では右ハンドルになった。

クーペフォルムでもSUVとしての使い勝手に不満なし

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後席に座ってみると、ご覧のとおりのクーペフォルムながら、頭まわりが窮屈ではないことにも感心。ヒップポイントを低めてヘッドクリアランスを稼いでいて、日本の成人男性の平均+αの体格である筆者が座っても余裕があり、思ったよりもウインドウの絞り込みによる閉塞感もない。リアシートがリクライニング可能となったのも進化点のひとつで、そのあたりはすべて上手く帳尻を合わせたようだ。

ラゲッジスペースはX3よりも若干小さいとはいえ、これだけ広ければ十分だ。また、3分割可倒式のリアシートや、ラゲッジフロアに配されたレール、大容量のアンダーボックスなど、従来型のX4にもあった便利アイテムはもちろん踏襲していて、SUVとしての使い勝手にも不満はない。

スポーツ走行性能と実用性を兼ね備えたMパフォーマンスモデル

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今回試乗した「M40i」は、サーキット走行をも視野に入れたBMW Mモデルと、日常的な仕様を想定した通常のBMWモデルの中間に位置付けられる、スポーツ走行性能と実用性を兼ね備えた「Mパフォーマンスモデル」の一員となる。

ガソリン3リッター直列6気筒ターボエンジンは、最高出力360PS(265kW)/5500rpm、最大トルク500Nm/1520-4800rpmを発揮し、0-100km/h加速タイムは4.8秒と、5秒を切る俊足ぶり。車両価格は977万円で、ガソリン2リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載する「xDrive30i M Sport」よりも163万円高い。

ちょっと派手なエキゾーストサウンドにもホレボレ

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エンジンフィールは本当に、これぞまさしく「絶品」という言葉が相応しいものだ。BMWが手がけたストレートシックスならではの精緻な回転フィールは、恐れ入るほど素晴らしく、目の覚めるような加速の力強さと約7000rpmまでよどみなく回る吹け上がりの鋭さは、さすがというほかない。ちょっと派手なエキゾーストサウンドにもホレボレする。モードを切り替えると音量が増し、アクセルオフでパンパンいうのも「M」の付くモデルらしい。

硬い乗り心地だった先代から、新型では乗り心地がずいぶん向上

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フットワークの仕上がりも素晴らしい。持ち前の俊敏なハンドリングを損なうことなく、快適性にも大いに配慮したことがうかがえた。従来型のX4は、キビキビとした走りを実現していた半面、かなり乗り心地が硬かったのは否めず。新型X4も、その延長上にあるものと思っていたのだが、そうではなく乗り心地がずいぶんよくなっていた。足が短いストロークの中で、ひきしまっていながらもよく動き、ガチガチでなくなったので、跳ねや突き上げも払拭されている。そこには大きな違いがある。

まさしく「意のまま」のハンドリングも本当に気持ちがよい。ステアリングを切ったとおりにピタッと決まる感じ。操作に遅れることなくノーズが向きを変え、しなやかに狙ったラインをトレースしていく。感触としてはX3よりもだいぶ重心が低い感じがするし、熟成が進んでかX3よりも快適なのではと感じたほどだ。スポーツモードを選択するとアクセルレスポンスやハンドリングのダイレクト感が増して、より「SAC」らしさが高まる。

柔軟に体を包み込んでくれるヴァーネスカ・レザー仕様のスポーツシートの着座感も申し分ない。横Gのかかるコーナリングでもしっかり身体をサポートしてくれるし、おそらくもっと長い時間ドライブしても疲れ知らずだろう。

さらには、部分自動運転を実現した運転支援システムや、コネクテッド・ドライブ、ジェスチャー・コントロール、ディスプレイ・キーなど、BMWが誇る最先端テクノロジーの数々が与えられているのはいうまでもない。

日本ではいまひとつパッとしないSUVクーペだが、クルマは非常に魅力的

このように見ても乗っても、なにからなにまで感心の連続だった。海外ではそこそこ人気のSUVクーペというカテゴリー自体が日本ではいまひとつパッとしておらず、従来型のX4も日本ではそれほど売れなかったようだが、新型X4はお伝えしたとおりの、非常に魅力的なクルマに進化していたことを念を押しておきたい。

[筆者:岡本幸一郎 撮影:茂呂幸正]

注※本国ドイツ仕様のデータより

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