横浜市長、IR誘致なお「白紙」 市民団体質問に表明

 IR(カジノを含む統合型リゾート施設)の横浜市への誘致を巡り、林文子市長と全市議に対し、賛否を尋ねるシール投票と質問状への回答を呼び掛けていた市民有志らが30日、市役所で会見し結果を公表した。市長は改めて「白紙」を表明。情報収集・分析を進めており、市民に意見を聞ける状況ではないとの考えを示した。市民有志らは、街頭での民意は大半が反対だとした上で、「市民の声を聞いてほしい」と訴えた。

 市民らでつくる有志グループ「横浜にカジノってどうなの?」が8月末、市長と全市議(86人)にシール投票と質問状を届けた。投票は市長や議員個人の名前が記されたシールを「いる」「いらない」のいずれかに貼り、意思表示する形。9月下旬までに市長と自民(31人)、民権フォーラム(21人)、公明(16人)、共産(9人)の各会派、無所属3人が答えた。ヨコハマ会(2人)と無所属4人からは回答がなかった。

 市長からはシール投票の返却はなく、質問状の回答のみ。「市民へのアンケートをいつ行い、どう反映するのか」との問いに対し具体的な方法や時期は「今後、検討する」としつつも時期は「未定」とした。

 自民からもシール投票の返却はなく、市が調査中であることなどを理由に「状況を注視したい」との見解を示した。民権の投票には議員個人のシールではなく、会派名が記された自作のシール1枚で「いらない」と意思表示。公明は全議員のシールが「いる」と「いらない」の間に貼られ、質問状では全員が「分からない」と回答。共産党の全員と無所属の3人は「いらない」とした。

 有志グループ共同代表の小林章子さん(45)らは「一人一人の考え方を知るのが狙いだったが、回答なしや会派としての回答は不誠実」と批判。結果はフェイスブックで公開する。

 同グループは昨夏の市長選前から街頭でのシール投票を展開。42回で延べ1万4166人が応じた。全体の約86%に相当する1万2165人が「いらない」、約13%の1794人が「いる」と回答したという。来春の統一地方選でIRを争点にするため、今後もシール投票などを展開するとしている。

IRの横浜市への誘致を巡り、林市長や市議からの回答について会見する市民有志ら=横浜市役所

© 株式会社神奈川新聞社