糖尿病でもおいしい生活を 横浜でクッキング教室

 糖尿病の治療における食事療法の大切さを学び、糖尿病患者に配慮したレシピを作るイベント「糖尿病とおいしく生きようプロジェクト いきいきライフクッキング」が、横浜市西区のホームメイドクッキング横浜教室で行われた。講演を行った医師らは「病気について正しく知って行動することが大切」と話した。

 同イベントは、日本糖尿病協会とホームメイドクッキング、製薬会社のMSDが共催。糖尿病患者や家族など24人が参加した。

 糖尿病はすい臓で作られるホルモンのインスリンがうまく作用せずに血糖値のコントロールができなくなり、血液中の血糖値が不適切に上昇してしまう病気。血管にダメージが蓄積するため、放っておくと網膜症での失明や神経障害からのしびれ、脳梗塞で死亡するなど深刻な合併症を引き起こす可能性がある。

 向ケ丘久保田内科(川崎市多摩区)の久保田章院長(56)は「糖尿病の治療で大切なことは、どんな病気かを正しく知って、自分の体を守るように行動すること」と言う。

 治療には、薬物療法の他に食事療法と運動療法が効果があり、食事療法では「1日3食、規則的に取る」「脂肪と炭水化物を控えめにする」「間食、夜食を控える」「野菜⇨おかず⇨ご飯、パン、という食べる順番に気を付ける」とのポイントを示した。

 血糖値は食べると上がるので「おなかがすくまで食事しないなど、血糖値が下がる時間をつくってほしい。その時間をうまくつくることができたら『よく辛抱した、これで脂肪が燃える』といった前向きな『うまくできた感』を持ってほしい」と久保田院長。

 同内科の管理栄養士で日本糖尿病療養指導士の高田由美子さん(52)は「食べてはいけないものはない」とした上で「同じ鶏肉でも、蒸すのか焼くのかでカロリー量は変わる。調理法によるエネルギーダウンや、だしを利かせて薄味を心掛けるなどの工夫を」と調理の際のポイントを話した。

 料理教室では、同協会が行う「チャレンジ!糖尿病いきいきレシピコンテスト」で、2014年のファイナリストレシピになった「豆腐と枝豆のおやき弁当」をグループに分かれて作った。

 献立は豆腐と枝豆のおやきチーズのせ、きんぴらごぼう、ひじきの煮物、ダイコンとニンジンのなます、ごまかけご飯。1人当たりの栄養成分はエネルギー534キロカロリー、タンパク質23・9グラム、脂質17・7グラム、炭水化物68・2グラム、食塩2・5グラムなど。

 おやきの食材について「植物性タンパク質と動物性タンパク質の両方を、バランスよく使用している。生活習慣病予防全般においても有効なレシピ」と高田さん。

 ホームメイドクッキングの久保泰代さん(67)が指導に当たり、「おやきは、ふんわり軟らかめがおいしい。豆腐を水切りしすぎると固くなるので注意して」とアドバイス。完成後の試食では「枝豆の食感が面白い」といった感想が交わされた。

 高田さんは「たとえ糖尿病でも、一生おいしく楽しく食べていきたいと思うもの。毎日続けることに意味があるので、何か一つでも工夫できることを続けてほしい」と話した。

豆腐と枝豆のおやき チーズのせ

材料(1人分) 

木綿豆腐50グラム

豚ひき肉30グラム

万能ネギ10グラム

枝豆15グラム

ピザ用チーズ15グラム

オリーブ油1・6グラム

A[塩、こしょう、鶏がらスープのもと 各少々]

しょうゆ5・4グラム

レタス1/4枚

ミニトマト1個

キウイフルーツ適量

作り方 

【1】豆腐はキッチンペーパーで包み、30分ほど水切りしてから手でつぶす。ひき肉はよくこねておく。万能ネギは小口切りに。枝豆はゆでて、さやから出す

【2】(1)をボウルに入れてよく混ぜ、Aを加えて混ぜる。しょうゆを加え、さっと混ぜる

【3】フライパンにオリーブ油を熱し、形を整えた(2)を入れてチーズをのせる。チーズが溶けてきたら裏返し、チーズがかりっとなるまで焼く

【4】弁当箱の場合はレタスを敷き、(3)をのせる。ミニトマトと食べやすい大きさに切ったキウイフルーツを詰める。お皿の場合はレタスなどをおやきに添える

レシピを習う講習会参加者ら=いずれもホームメイドクッキング横浜教室

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