【平成の長崎】長大スイングボートの伝統守れ OBが激励ジャズライブ 平成11(1999)年

 地元ジャズファンには、おなじみの長崎大学スイングボートジャズオーケストラ。1964年に発足、プロミュージシャンも輩出するなど一目置かれるサークルとして伝統を築いてきた。だが、近年、部員不足で本格的なコンサートが思うように開けないという。その悩みを聞いたOBが自分たちの演奏をぶつけることで、活気を取り戻してほしい」と後輩を激励するため、7月6日、ライブステージに立った。
 同オーケストラ恒例の、ジャズバー「マイルストーン」(長崎市築町)でのライブ。会場には、それぞれの楽器を手にした8人のOBの姿が。部員たちはいつにない緊張感を持ってこの日を迎えた。
 ジャズを愛するOBたちは、社会人になっても長崎市内のグループなどで演奏を続け、腕を磨いている。スタンダード、4ビート、16ビートなどまさにお手本プレーで会場を魅了。ソニー・ロリンズで有名な「セント・トーマス」などのセッションで学生をリード、アドリブも多彩にジャズマンの心意気を伝えた。
 同オーケストラ第20代部長の三露一樹さん(38)=長崎市女の都3丁目=は「こんなに楽しい音楽はない。一生懸命に練習して、もっと演奏をアピールしてほしい。ここで学んだことは社会人になっても役立つ。私たちの演奏が励みになれば・・・」。後輩の成長を願い、刻むドラムのビートに熱がこもった。
 後輩たちは口々に「すごい」と語り、先輩たちのプレーを体で感じ、圧倒されたよう。現在の第35代部長、山本淳行さん(20)=同市江里町=は「昔のすごさが伝わってきて刺激になった。やはり練習あるのみです」と気を引き締めていた。
 好意的に会場を提供し続ける同店マスターの夏目英幸さん(44)は「いい勉強になったと思う。先輩たちとのつながりも大切に、ここでいい演奏を聴かせてほしい」と、共演に感動の様子だった。
 現在、メンバーは大学院生も合わせ21人。新入生が入るまでオーケストラも組めなかったが、今後、活発な活動につなげたいところ。目標は8月の九州ビッグバンドジャズフェスティバルと1月の定期演奏会。OBから学んだ〝ジャズ魂〟を発揮し、今度は恩返しのステージをプレゼントだ。(平成11年7月11日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

自らのジャズ演奏で後輩を激励するスイングボートのOBたち=長崎市築町、マイルストーン

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