【平成の長崎】佐賀・長崎連続保険金殺人事件 わが子殺害 社会震撼 平成11(1999)年

 この年の春、長崎県警刑事部長(当時)に就いた小賦さん(77)は前任者からこう耳打ちされた。「引き継ぎがある。大きな事件になる」。保険金目当てに母親が交際相手の男と共謀し、わが子を殺害したとしてのちに社会を震撼(しんかん)させた佐賀・長崎連続保険金殺人事件のことだった。

容疑者を立ち会わせて現場検証する捜査関係者=諫早市小長井町、築切港

 前の年の平成10年10月27日未明、旧北高小長井町(現在諫早市)の岸壁で、佐賀県鹿島市の高校1年=当時(16)=が遺体で見付かった。母親(受刑者)は「イカすくいに来ていて姿が見えなくなった」と警察に説明。だが、その後の捜査で次々と驚愕(きょうがく)の事実が明るみに出る。
 息子には多額の保険金が掛けられ、睡眠薬を飲まされた上、釣り中の事故死を装って殺害されていたことが発覚。県警は99年、母親(受刑者)と交際相手だった鹿島市の自称古美術商(71)を殺人容疑などで逮捕した。
 2人は、息子の殺害と同じ手口で母親(受刑者)の夫(38)=を92年に佐賀県内で殺害し、約1億円の保険金を詐取していたことも判明。平成15年1月、長崎地裁は2人に死刑判決を言い渡したが、控訴審で受刑者は無期懲役に減刑された。残された2人の子どもたちが、母親の死刑回避を嘆願したのが主な理由だった。
 小賦さんは「難しい捜査だったが、殺害された父と子の無念を晴らしたいという一心で捜査に当たった」と振り返る。(平成30年11月2日付長崎新聞より)
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【平成の長崎】は長崎県内の平成30年間を写真で振り返る特別企画です。

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